［完］もう二度と会いたくなかった3【佐野万次郎】

期待しているのかもしれない ページ19

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【花垣が会いたいって。明日の夜会えるか？】



青宗くんからそのメールが来たのは今朝のこと。



「(…ドラケンくんだな)」



あの人、絶対私のこと言いふらしてる。

ということは、万次郎の耳にも何か入っているはずだ。



『はあ…』



ま、いいけど。12年ぶり、だもんね。



『(皆んな元気かな…)』



変な感じだ。

動きたいけど、動きたくない。動いて欲しいけど、動いて欲しくない。

私の時間は、いつから止まっていたっけ。

ヒナちゃん、エマ、たかくん、パーちゃん、千冬くん、名前を挙げればキリがない。



『(私って、けっこう友達多い方だったんだ)』



大人になった今だからこそそう実感できる。



【大丈夫だよ。場所とかわかったらまた連絡ください。】



断ることもできるのに。

私は、“何か”を期待しているのかもしれない。



















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【明日休み？出かけよ】



お夕飯を黙々と食べていたら蘭から電話がかかってきた。

明日は一応日曜日。蘭と休日が被るのは久しぶりで、嬉しいお誘いだけれど。



【あー…ごめん、夜に予定入ってて。午前中は最近ドタバタしてて疲れてるから休みたいかも】


【了解〜】


【…ごめんね、蘭】


【何？急に】


【最近全然時間取れなくて…】


【俺がそんなんで怒ると思うの？】


【思わない…けど…】



今の自分のコンディションもあるのだろう。

いつも以上に誘いを断ることに嫌気が差す。



『(蘭に嫌われたらどうしようって、思っちゃうんだよ)』



そんな面倒くさい言葉は飲み込んだ。



【A？】


【ううん、また時間取れる時に連絡する】


【待ってる】



蘭には迷惑かけてばかりだ。

私って、超面倒臭い女。蘭の優しさに甘え過ぎてる。



【声覇気なさすぎ。ちゃんと食って寝ろよ。】



電話を切ってすぐに蘭からメッセージが届き「バレたか…」と自分に呆れる。



『(…しっかりしなきゃ)』



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