［完］もう二度と会いたくなかった【佐野万次郎】

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これは何かの悪い夢なんだ。

私の悪夢はまだ終わっていなくて、早く目を開けないと。



『(………はやく、戻らなきゃ)』



しんいちろーが待ってる。

まんじろーも、エマも。ドラケンくんも、場地くんも、たかくんも。みんな、みんな。



『(目を開けなきゃ……)』



そう強く祈ると、やっと意識が覚醒してきた。



















「A！」



















真っ白な天井に、サラサラのシーツ。



















『ま…じろ…』



















私の名前を呼んだのは、紛れもなくまんじろー。

まんじろーの隣にはお母さんとお父さんもいた。



「A…！」


「よかった…っ」


『(…やっぱり、夢だったんだ)』



良かった、戻って来られて。


今はいつだろう。


なんで私は病院にいるんだろう。



「貴方、急に倒れたのよ。万次郎くんが連絡をくれたの」


『おかあさ…あの、ね…しんいちろーがね、死んじゃう夢見てたの…』



お母さんの言葉なんておかまいなしに、自分の不安を掻き消すように言葉を並べ立てた。



『よかった…悪夢から目覚められて…』



そう言って私はパッと顔を上げると、お父さんとお母さんは同じ顔をしていた。その顔は、すごくすごく悲しそうで。辛そうで。

まんじろーは、初めて見るに等しい、真剣な顔をしていた。





「…A、落ち着いて聞くんだ」





お父さんは急にそう言って、お母さんに私は手を握られる。





「真一郎くんは…」



















“なくなったんだ”



















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