［完］もう二度と会いたくなかった【佐野万次郎】

エマ ページ24

□



『エマぁ…私はしんいちろーに見事にふられました』


「あらら」


『しんいちろーは私とは家族がいいんだって』



翌日。

しんいちろーのお店になんとなく足が向かなくて、佐野家へ直行。居間で料理雑誌を読んでるエマに話しかける。



「でも、ちーにはマイキーがいるじゃん」


『なんでまんじろー？』


「っえ、あ、なんでもない。ほらあれ、二人は幼馴染だし。マイキーがついてれば百人力だよ」



エマとは姉妹みたいな感じ。良き相談相手でもある。

しんいちろーの惚気を勝手に話してエマが適当に相槌を打つのはもはや見慣れた光景。でも今日は悲しいお知らせなのだ。



『意味わかんないし』



でもエマは私としんいちろーを全然応援してくれない。

いつも「ふーん」「そーなんだ」で終わり。それでいてこうやってまんじろーの話ばっかり。



『どーせエマも釣り合わないからやめとけって言うんでしょ』


「だからー、ウチは釣り合うとかじゃなくて、真兄とちーってなんかそういうのじゃない気がするの」


『“だから”ってなんだし！今までそんなこと言ってなかったじゃんっ』


「え？そうだっけ」


『ひどっ』


「ごめんって」



もう、ちゃんと考えてよ。大事なことだよ。

だって私としんいちろーが結婚したらエマとはごーほーてきに姉妹になれるのに。



「ま、ちーが大学生になったらきっと真兄も振り向くよ」



『えぇ…遠すぎ…』



まだまだ先は長そうだけど、しんいちろーにあんなにはっきり言われたら希望なんてもう持てないよ。



□

たかくん→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す