77 . 駄々っ子 ページ37
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さおと電話を終えた私は
そのまま寝室のベッドへ身体を沈めた。
ベッドサイドに無造作に置かれた
翔さんのパーカーに腕を通すと
そこから翔さんの香りがフワッと自分を包みその匂いに安心する。
さっき飲んだビールが効いてきたのか
寝不足な頭が眠りたい…って言ってる。
そんな自分自身に抵抗して
脳内でひとりブツブツと論争を始める。
私には翔さんしかいなくて
翔さんがいるから世界が回っていて
なんだかんだと不安になりながらも
私が戻る場所は翔さんがいる場所しかいないんだよ…
そこで翔さんに飽きられてしまったら
私はもう自分の居場所がなくなる。
私が好きな人は翔さん…
翔さんが好きな人は私。
うん、だから大丈夫…
心配しなくても大丈夫。
自分勝手に結論付けると
そこで意識を手放した。
朝 目を覚ますと
目の前に寝息をたてて眠る翔さん。
「……いつ来たんだろう」
昨日は…起きているつもりだったのに
日付けが変わったあたりで
私の意識も途絶えてしまった。
じーっと彼の寝顔を見ながら
女のそれのように滑らかな肌に
羨ましさを感じれずにはいられない。
そろそろ起きなきゃ…
身体を起こそうとすると
なぜかしっかり抱き寄せられて失敗に終わる。
「あー……もう」
翔さんの顔を睨みつけてみるけど
スヤスヤと気持ち良さそうに眠ってる。
「…ごめん、ほんと起きなきゃ時間がないよ」
翔さんの腕を持ち上げると
眠そうな怠惰な動きでまぶたが持ち上がり
今だ覚醒しきってない瞳が私を捉えた。
『……あさ？』
「そう、朝」
『もう少しだけこうしていたい…』
「え、ちょ、ちょっと！」
起きようともがく私を
なんでもないかのように
抱き寄せて腕の中へ閉じ込めてしまう。
「……手、離して」
『ん……』
「……ねえ、ってば」
『イヤだ……』
翔さんの腕から再度抜け出そうとする私を
気に食わないらしく
さらに力を込めてきた。
うわー、嘘。
私…時間がないのに
なんで、力を強めるの？
今日の翔さんは珍しく
駄々っ子みたいに見えた。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2012年9月27日 23時
