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75話 ページ28

砂浜にはほとんど生徒がおらず、深淵先生は暇そうに海を見ていた。

「……ああ、Aか」
「暇そうですね」
「暇だな」

彼は私を見下ろして笑った。

「暇つぶしが来たが」

酷い言い草だ。しかしそう悪い心地はしない。
私は笑いながら海に目をやった。

「海好きなんですか」
「まあ、そこそこ」

彼はちらりとこちらに目をやって言った。

「お前は?」
「好きですよ」
「同級生といるよりもか」

横をむくと、視線が合った。

「……だったら、何か駄目なんですか」

予想以上に棘のある声が出てしまった。

「駄目とは言ってない」

宥めるような声音に、私は罰が悪くなってしゃがみこみ、波の打ち寄せる砂に手を触れた。

「頼れる友達がいればお前が楽かと思っただけだ。不快な気持ちにさせたならすまなかった」

先生に頼るからいい、なんて子供じみた言葉が喉まで出かかって、結局吐き出さずに代わりにため息をついた。
先生が私の悩みを聞いてくれるのは、彼が教師だからだ。
だからそれ以外の人を見つけろと言っている。

「心愛には話してあるのか」

親の仲が悪い話だろう。

「言ってもどうにもならない。それに」
「それに?」

先生は私の横にしゃがんで、私の目を覗き込む。

「……もし心愛と仲が悪くなったときに、他人にペラペラ話されたら困る。私じゃなく、親の評判が悪くなる」

先生が黙っているので、私は言葉を続けた。

「別に信用してないわけじゃないですよ。今の心愛が他人に話さないことは分かってます」
「……俺に話してくれたのは」

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みゆ - 忘れた頃に戻ってきます。の言葉を待ち続けてました!最高です🥲素敵な作品でいつも読ませてもらってます。これからも応援してます! (2022年8月12日 21時) (レス) @page31 id: df78362649 (このIDを非表示/違反報告)
Niko(プロフ) - 3年ほど前から主さんの作品が好きで、久しぶりに開いたら更新されててびっくりしました...!ずっと応援してます! (2022年6月19日 18時) (レス) id: bff3de95f7 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ(プロフ) - 最高すぎます!!!一気読みしちゃいました笑  (2022年6月5日 22時) (レス) @page30 id: c6594e1224 (このIDを非表示/違反報告)
まなぶ - やばい....最高です....絶賛今自分先生に恋してる身なので、気持ちがわかりすぎてえぐいです....続きがすごくみたいです!更新待ってます!! (2022年4月10日 23時) (レス) id: be5b892ffb (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ - っっっ〜〜!最高っです!久々の更新が嬉しすぎて「えっ!」って言っちゃいました!これからも応援してます! (2022年4月4日 23時) (レス) @page30 id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:餅屋 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年11月30日 23時

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