検索窓
今日:1 hit、昨日:43 hit、合計:110,366 hit

50話 ページ3

弾き終わると、先生は拍手をしてくれた。

「……お前が弾くと別の曲みたいだな」

私が首を傾げると、彼は続ける。

「生徒が巫山戯て弾いているのは何度も聴いたことがあるが、もっと平坦だった」
「ありがとうございます」

それは十分すぎるほどの褒め言葉だった。
私は鍵盤にカバーを掛けて、ピアノの蓋を閉める。

「そう言えば、先生は何でここにいるんですか」
「日直だからだ」

鍵の束を見せて、先生が言う。
そうして彼はさりげなく続けた。

「お前こそ、心愛が気にしてたぞ」

喧嘩か?と聞かれ、私は首を振る。
喧嘩というのは対等な立場でするものだ。

「私の一方的な攻撃ですよ」

あの傷ついた顔を見た時、胸の奥が冷えた。

「そうか。……でも人は全く理由無しに他の人を攻撃することはないだろ」
「……少なくとも心愛に理由はありませんでしたし、理由があるにしても言っていいことと悪いことがあります」

先生は優しく笑った。
ドキリとする。
なんだかその表情の奥に寂しさがあるような気がする。

私は慌てて続けた。

「へへ、私もう子供じゃありませんからね!!」

彼はすぐに呆れた顔になった。

「大人でもないけどな」

51話→←49話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (108 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
413人がお気に入り
設定タグ:先生×生徒 , 教師 , ドS , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みゆ - 忘れた頃に戻ってきます。の言葉を待ち続けてました!最高です🥲素敵な作品でいつも読ませてもらってます。これからも応援してます! (2022年8月12日 21時) (レス) @page31 id: df78362649 (このIDを非表示/違反報告)
Niko(プロフ) - 3年ほど前から主さんの作品が好きで、久しぶりに開いたら更新されててびっくりしました...!ずっと応援してます! (2022年6月19日 18時) (レス) id: bff3de95f7 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ(プロフ) - 最高すぎます!!!一気読みしちゃいました笑  (2022年6月5日 22時) (レス) @page30 id: c6594e1224 (このIDを非表示/違反報告)
まなぶ - やばい....最高です....絶賛今自分先生に恋してる身なので、気持ちがわかりすぎてえぐいです....続きがすごくみたいです!更新待ってます!! (2022年4月10日 23時) (レス) id: be5b892ffb (このIDを非表示/違反報告)
ハルキ - っっっ〜〜!最高っです!久々の更新が嬉しすぎて「えっ!」って言っちゃいました!これからも応援してます! (2022年4月4日 23時) (レス) @page30 id: 26f7606c1b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:餅屋 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年11月30日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。