神を呪った少年

8【悪魔の子】 ページ9

血の臭いが混ざった生温い風が


夕方の紅色に染まって細い道を歩いている男の子の頬を


撫でるように通る


一見穏やかに見えるその男の子の心は


まだ闇をさ迷っている







女の子「ねぇっ!」


ウィル「…!」



ーサアッー



ついさっきまで生臭かった風は

嘘のように消え

花畑を連想させるような匂いへと変化した


目の前の女の子のせいだろうか


僕は久し振りに生の人間をじっくり拝見した


ウィル「何?僕に何か用ですか?」

女の子「怪我、してる…手当てするから待ってて!」


不意に笑顔を向けられ“ドキン”と心臓が鳴った

躊躇している間に緊急箱を持ってきたようだ

急いで自分の前にかがみ、手際良く手当をしている



………人の手に触れるのは何年振りだろう…


人の血と叫び声しか浴びなかった自分は

少しでも温もりを確かめるように

そっと目を閉じた

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