【名探偵コナン】諸伏家の嫁。３

第118話 ページ30

徹夜に徹夜を重ねてようやく両方の遅れを取り戻した。


工藤ご夫妻のパワーがまだ続いていたようで、これだけ徹夜をしても全く疲れを感じていなかった。今朝起きるまでは。


昨夜は早めにベッドに入ってぐっすり寝たはずなのに、目が覚めた時から頭痛がする。頭痛だけでなく全身の倦怠感も激しい。


このまま寝ていたいけど、休むと仕事が遅れて後からまた辛い思いをするはめになる。


だるい体に鞭打って体を起こして時計を見ると、起きなければならない時間を大幅に過ぎていた。


髪をとかしながら急いで部屋を出て、パジャマのまま一階に降りた。


すでに着替えをすませて朝ごはんを作っている高明さんを見つけて詰め寄った。


『高明さん！どうして起こしてくれなかったんですか⁉』


諸「すみません。目覚まし時計が鳴っても気持ちよさそうに眠っていたので、朝食ができてから起こしに行こうかと思っていました。」


『布団引き剥がしてでも起こしてくれてよかったのに。』


高明さんは片手を私の頬に当て、目の下、ちょうど涙袋の下あたりを親指でそっとなぞった。


諸「こんなにクマができているAさんを無理矢理起こすなんてことは、私にはできませんよ。」


かっこいい！そして優しい！私の発言は予想の斜め上を行くと言われたけど、今の高明さんも斜め上を行ってたよ！


真顔で見つめられて優しい言葉をかけられた私は完全に照れてしまって、高明さんの顔をまともに見ることができない。


『あ…すぐに着替えてきます…』


か細い声で言ってからその場を去り、自分の部屋で大急ぎで着替えをすませた。


洗面所でメイクをしながら鏡の中の自分を見ると、確かに目の下にクマができている。それもお兄ちゃんみたいな濃いクマが…


いつも通り朝ごはんを食べて、いつも通りに登庁して、いつも通り仕事を始めた。全ていつも通りなのに、私の体調だけがなんだかおかしい。


朝の倦怠感はお昼を過ぎても続いているし、なんだか熱っぽい。それにめまいを感じることもあった。


こんな状態が数日続いているけど、心配をかけるといけないから高明さんには体調が悪いことは言っていない。


でも、なんとかしないといつまた倒れるかわからない。原因はたぶん寝不足だろうけど、念のため上原さんに相談してみた。


上原さんの口から出たのは、私が全く予想もしていない答えだった。


上原「ねぇ、Aちゃん、それってもしかしたら妊娠してるんじゃないの？」

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