なにわの白③【男主】 (ページ6)

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おまけページ6

※西畑side

俺に引かれてないか心配だったらしいAの言動が可愛くて優越感が爆上がりした。
あのAに嫌われたくないと言われてニヤけるなというほうが無理。

もう俺のものなんじゃないかと錯覚も引き起こす。
やっぱりAは麻薬みたいに危険な存在だ。

　

そんなAと遭遇したのはものの数分前。

「Aくんめっちゃ良かったっすねー！」
「年齢詐称してるんちゃうん！？って焦ったわ」
『ありがとう。なんかみんな褒めてくるから照れるわ』

今は絶賛囲まれているAを遠くで眺めてるだけ。

イライラする。いつも、この時間が。
貧乏ゆすりを止めようとしても、気付いたら戻ってるしこういう時は練習に打ち込まないとやってられない。

この努力がAの横に立てる実力になると思うと気分が昂るが、ふと聞こえてくる取り巻く声にまた機嫌が底に堕ちる。
なにきんが解体されてからこういった精神に寄ってしまった気がする…自覚がないだけでもっと前から周りに嫉妬していたのかも。

独り占めしたいという感情と、俺が一番Aのこと好きなのにって感情と、Aが一番好きなのは俺という全部全部子供じみた醜い心。
Aの一番になりたい、なってるはずなのにどうして満たされないのか。

それはあの人がみんなに平等だから。壁がない。でもどこか一線を感じる。
遠い存在なのもあるけど、Aは自分の暗い部分をこっちに出さないから壁を感じるんだ。
壁がないのにある、これは実際に話してみないとわからない感覚。

　

『さっきの全部ずれとんで』
「…A」
『どうしたの大吾。今日は集中できてないみたいやけど』
「歌割り増えたから慣れてないだけ」
『そう？それは嬉しい悩みやね』

気付けば横にいたAに気持ちがスッと落ち着いた。
やっぱりAは麻薬と一緒だ。一度中に招いたら中毒性がある。

「休憩」
『え、』

Aの腕を引っ張って壁際に行き、寄りかかるように座り込んだ。
俺ストレッチしかしてへんよ、なんて焦る声を無視して肩に頭を置いて目を閉じる。

『大吾？聞いてる？』
「聞こえん」
『聞こえてるやん』

大吾が甘えたなの嬉しいけど、と焦りと嬉しさが混じるAの声が、振動しながら耳に届くのが心地よくて思わず笑ってしまう。

全体稽古まであと5分、今だけは俺がAを独り占めさせて。

　

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Dolce～からここまでが一括りで、リクエストを参考にしてます。ありがとうございました！