なにわの白③【男主】 (ページ49)

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車を出してくるからと離れようとしてもべったりくっついたまま。
俺が離れようとすると泣きだして置いていくんだと喚く始末。

「Aは俺のこといつも置いてくやん。俺のこと嫌いなん！？嫌いはやだ！」
『置いてかんよ。俺いつも大吾のそばにおるやろ？やーやー言わんと涙拭き』
「Aが拭いてくれんとや…」

酔うと情緒不安定になるって本当だったんだ。
いややいややとごねるから涙を拭おうと顔に触れるも違うと一言。

「舐めて」
『舐める！？』
「嫌なんや…やっぱA俺のこと嫌いやんか」

グズグズと鼻水まで出して泣くから先に鼻水は拭いてやる。
涙はダメでも鼻水はティッシュで拭いていいらしい。判定謎やな。

こんなところで見られたら大吾も困るやろとなんとか宥めながら一旦人気のない路地の物陰に抱えていく。

　
舐めるってなんや。舐める？動物みたいなことさそうとしてる？

ふと、頭を過る記憶。
最近大吾が見てたドラマ、泣いてるヒロインの瞼にキスするシーンあったな。

え…それ！？それしてほしいんかな。
でも舐めるってはっきり言い張ったよな…え？助けて。

俺が固まって何もしないからどんどん大吾が不安定になって死んでしまいそう。
これは助けてあげないといけない。舐めるって何？

『目閉じて』

優しく声をかけると大人しく目を閉じた。
不安なのか俺を離そうとはしない。そこはやっぱり可愛い。

壊れモノを扱うように顔に触れ、目尻にキスを落とす。
キスは部位によって意味があるって見たことあるな。

何度かキスしてたら俺のほうもリミッターが外れたのか、舐めるのにも抵抗心がなくなってきた。

元から嫌だったわけじゃない。
どちらかというと大吾はそれでいいの？という心配が大きかったのだ。

満足したのか大吾の表情が柔らかくなる。酔いは覚めず。

俺の首に腕を回して口にキスをしてくるからそれに応える。
ちゅ、ちゅ…と啄むようにキスするところは子供みたいで可愛らしい。

大吾とキスは普通にしたことある、してた。
大吾が甘えたモードだとよく強請ってくるし、ライブでしたりもした。

ただ舐めるという行為はスキンシップの範囲とは思えずただびっくりで、酔ってる大吾は意外と思考が過激だ。

　

「A」
『ん～？』
「Aは俺のこと好きよな？」
『もちろん』
「じゃあ…俺のこと抱いてくれるやんな？」
『…ん？』
「抱いてくれへんの？」
『え？』

その後どうなったのか俺から語ることはまだない。