変な人 ページ37
昔から仕事で関東に来るのは多いほうだったが、最近の東京Jr.は知らない子が増えた気がする。
そりゃあ年月が経てばJr.は増えていくが、こう…関わる機会が減ってるというか、ほぼほぼないというか…関西にいるとこういうところで困ることもある。
向こうが知っててこっちが知らない状況は申し訳ない気持ちになる反面、自分の入所歴がどんどん長くなってるんだなあと思い知らされる。
廊下を歩いていると遠くから歩いてくる集団。
向こうのほうが先に気付いたみたいで、手を振ってくる。
『げ…』
「ねえその反応酷くない？」
『お久しぶりです……』
「待って？そんな余所余所しい態度取る？」
派手な風貌でひょろりとした長身の人。
SixTONESの田中樹。
菊池風磨絡みで気付いたら顔見知りになってた。
知り合いの知り合いくらいの関係値だと思ってたけど、むこうは何故かフランクに接してくる。
知らん間に交流関係出来てたっけと思ってしまう。多分ない。
『俺を見た瞬間壁に隠れた彼も元気そうで』
田中「いつもごめんな、うちの北斗が」
『なんか慣れてきた』
田中「アレに慣れたら終わりだから慣れんな」
壁からチラッチラと俺を見てくるのは同じくSixTONESの松村北斗くん。
彼の俺に対する挙動は今でも理解出来ないが、仲が悪いわけではない。
俺のファンみたいな人…らしい。
知らない間に随分と評価してくれてたみたいで、有難い限り。
少し人助けしたくらいなのに、ここまで好かれたのは意外だった。
田中がちょっと引っ張ってくるわと向こうに行くので、大人しく待つことにする。
田中「……北斗、挨拶しないの？」
松村「かなりの緊張で心臓が取れそう」
田中「挨拶くらいしなよ。開き直ったストーカーほど質の悪いもんないぞ」
松村「俺はストーカーじゃなくて追っかけだから。ファン」
田中「それをストーカーって言うんだろ」
よく聞こえないが、田中が松村くんの頭を叩いてるのは見えた。
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