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小島に悪いことをした自覚はあるが、ここまで拗れる理由がわからないでいた。
真面目な小島はきちんと反省はしているのだ。
福本「誠也くんがこうなるのは初めてじゃないけど、今日はだいぶ拗れてんな」
小島「俺もそれがわからんくて困っとる」
佐野「……」
福本「晶哉なんか知ってんねやろ」
佐野「あれ、Aくんが誠也くんにいつもプレゼントしてたお店のやつ。最後に残してたのはAくんのお気に入り」
福本「あれ一番最初に取ってたもんな」
小島「それ知ってんなら止めてや」
佐野「その場にいたの大晴くんやろ」
福本「知らんかってん。ごめん…」
どうにもならない状況でまた休憩が終わろうとしている。
大きな溜息を吐いて、佐野は携帯を取り出しその場から出ていく。
年上たちに解決できないなら自分がどうにかするしかない。
申し訳ない気持ちになりながら、佐野は電話をかける。
少し間をおいてから応答になる通話に、開口一番佐野は謝った。
佐野「ごめんなさい忙しい時に」
『珍しいな、こんな時間に』
佐野「ちょっと困ったことになっちゃいまして」
本当はこんな話したくないけど、と佐野は事情を説明する。
電話越しに大笑いしてる間宮の声が聞こえて、少し気持ちが楽になる。
これが初めてではないのだ。
ごく稀にこうやって間宮の助けを求めて末澤の機嫌をなんとかしようとしたしょうもない実績がある。
『小島にお前は悪くないって言っといてな』
佐野「はい」
『また誠也に電話すればええんやろ？』
佐野「おねがいします…」
間宮に関わる人間はめんどくさい人ばっかりだと佐野は思う。
間宮が介入すればすぐに解決することも多いが、何とも言えない気持ちになる。
自分もそっち側なのだと自覚してるからこそ、先が思いやられる。
なるべくあんな大人にはなりたくないと思ってはいるが。
稽古場に戻るときには末澤の機嫌が戻っていることを祈って、佐野は歩き出した。
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