◆Sei dolce e rischi di cadere ページ2
※Dolce e piccante つづき
情報解禁と共にファンのみんなは喜んでくれて、関西のみんなも楽しみにしてると言ってくれた。
中にはえっちなもん撮ったんとちゃいます！？と心配するやつとか、俺の初めてが奪われたとかなんや色々ないこと言われたけど。
しかしいざ発売となると中々に恥ずかしい。
普段見せることのない己というのはこうも照れくさいものだったのか。
人を殺す役をやる前よりドキドキする、いつでも考えるのはファンの反応なのだから。
なんだか胃も痛くなってきた。嫌われたりせんかな、大吾とか変に思わんかな。
溜息を吐きながら稽古場に向かう。今日に限って関西Jr.の全体稽古日。
俺だけ仕事で合流が遅れる分、余計注目を浴びそうで嫌だ。こんなに行きたくない稽古はあっただろうか。今日は携帯も怖くて見てない、仕事用と連絡手段分けててよかったと強く思った。
「A」
『ひっ』
「何をそんな驚いとんの…？」
角を曲がろうとしたら後ろから声をかけられてついビビってしまった。今一番会いたくないといっても過言ではなかった。
『大吾、おはよう…』
「おはようさん。遅かったな」
『ちょっと渋滞しててね…遅くなってごめん』
「忙しいの知っとるし、Aならすぐ追いつけるし心配してへんよ」
ただただ俺の歩みが鈍っていただけなのだが、渋滞してたのは本当ではあるので何とも言えない気持ち。ちょっとばかしぎこちなくなってしまったのもご愛嬌とならないだろうか。
そんな中、俺の心配をしつつもAなら出来ると言ってくれるのは優しい。心に沁みる。
「雑誌、読んだ」
『待って』
「何？」
『心の準備が……』
「なんで！？」
胸を抑えながら待てのポーズをすると大吾が不思議そうな顔をした。なんなら俺の挙動に笑いだしてる。笑った顔可愛い…そうじゃなくて。
『今回そんな自信ないねん』
なんか違うと言われるのが怖いだけ。個人的には楽しかったし良い出来に仕上がっていたと思う。
過去最大に己の精神状態がおかしいことになっている、なんだこれ。
「なんで？」
『えー、あー…』
「言うてみ。別に引かへんよ」
今はその善意がただただ憎い。こんな可愛くて相手に寄り添ってくる男、好きにならないわけがない。
何の話をしてるのか自分でもわからなくなってきた。
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