No.7 ページ7
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バーを出た後、ATMで父親名義の口座に金を振り込んでから、Aは自宅に戻っていた。
高層マンションの最上階。初めて依頼で人を殺した時、就職祝いだと義爛が貸してくれた。
こんな所にガキ一人で住んでれば怪しまれるんじゃないかとも思ったが、意外と隠れ蓑になってくれている。
金持ちの考え方はよく分からなかい。
綺麗ですべすべのシーツに、シャワーを浴びてスッキリした身体を横たえ、真っ白な天井を見上げる。
今日、また人を殺した。
暗殺対象は凶悪ヴィランだったらしい。ヤクに兵器に、この裏社会の慣例法を無視して売り捌き、思い通りにならないと見せしめに取引相手を無惨に殺す、どうしようもない野郎だった。
殺せと依頼したのはヤクザで、この世界でも歴史の古い仁侠団体。彼らのシマを、勧告すら無視して荒らし回ったのだから当然の帰結ともいえる。
どうでもよかった。
正しくどうでもいい情報だった。
徐ろにリビングに戻って、テレビをつけた。すると、国民が金を出して運営しているらしいテレビ局で、ヒーロー事務所に職場体験に来て活動しているらしい雄英高校の生徒が紹介されていた。
No.2ヒーロー・エンデヴァーの息子はショートというらしい。街中を父親と一緒に歩いている姿も、終始ボーッとしていて何を考えているのか分からない。
その他にも何人か紹介されていたが、みんな一様に、
｢キラキラしてる｣
次のニュースです、とアナウンサーが言った。
キラキラした笑顔で道行く人に声をかけられ、時に膝をついて子供の頭を撫でていた彼らが消え、政治絡みの汚いカネの話が始まった。
皆キラキラしてた。
嫉妬はしない。
そういうものだと、とっくの昔に折り合いはつけてる。
つけてるけど、時々、どうしようもない虚無感に襲われるのだ。
そして考えてしまう。
真っ当な親の元に生まれていれば、テレビの画面の中のヒーローの卵みたいになれていたのだろうかと。
｢･･････寝れば収まるさ｣
結局、テレビは三分も経たず消してしまった。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
