No.49 ページ49
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｢お前がこれから働くのはここだ｣
入中は仮面に隠された目でAをじろりと睨めつけた。
Aは入中の警戒ぶりを他所に、サッと辺りを一瞥した。
目の前には重い鉄の扉がどしりと腰を下ろしていて、A達を睥睨している。ここが役所には登録していない地下迷宮の最奥に位置している事を除けば、扉以外は何の変哲もない廊下だ。
Aはヴィラン連合の依頼に加えて義爛の要望に応えるべく、死穢八斎會に潜入していた。
普通なら警戒されるはずなのだが、肋骨が浮き出ているようなAの貧相な体格と幼い見た目が幸いし、直ぐに下級構成員として働ける事になった。
上の階級の連中とは顔も合わせないので知る由もないが、Aの職場の仲間達はAを随分可愛がってくれた。何せ死穢八斎會は指定暴力団。女は愚か、そもそも子供がいない。貧弱そうな外見に反して力仕事も率先してこなそうとするAの一生懸命な姿勢が気に入ったのか、ご飯を分けてくれたり、テレビ鑑賞に誘ってくれたりした。
親切な構成員の一人からAとよりも一回り程小さい壊理という少女がいると教えてくれたが、普段は地下の一室で過ごしているらしく、一回も姿を見た事はなかった。
Aの様な少女に所謂“後処理”が任せられる事もなく、簡単な事務作業に従事する様になって一、二週間。構成員に若い女が加わったと聞いた本部長が、何故か直接Aの元を訪れた。
着いてこいと顎をしゃくられ地下迷路を歩く事十数分。
謎の扉の前で、死穢八斎會本部長・入中常衣、ヴィラン名ミミックが立ち止まったのである。
｢ここ、ですか｣
｢そうだ。中に入れ、説明する｣
言葉少なに、ミミックは鉄に扉を開こうとして･･････、
開かなかった。
｢･･････｣
｢･･････｣
｢･･････このドアは鉄製だ。中にいる方を守る為にな｣
｢･･････開けてもいいですか｣
｢･･････ああ｣
ミミックの小さすぎてくぐもった声に、Aはゆっくりと両開きの扉に手をかけた。ギギ、という音はせず、滑らかに開く。
寒々しい程メルヘンチックな基調の部屋の片隅に、小さな少女がうずくまっていた。
｢今日からお前の仕事は、こちらの壊理様のお世話をする事だ｣
ルビーの様な真っ赤な瞳と目が合った。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
