No.48 ページ48
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治崎廻。ヴィラン名・オーバーホール。
個性｢オーバーホール｣
手で触れた対象物を分解、修復できる。
ここまで分かっていて依頼遂行に移れないのは中々もどかしい、とAは前を歩く入中という可愛らしい相貌の死穢八斎會本部長の背中を追っていた。
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｢本当は死穢八斎會には首突っ込みたく無かったんだけどなァ｣
今回の任務を遂行する上で、義爛は幾つかの注意点を、裏社会に疎いAに噛み砕いて説明してくれた。
曰く、死穢八斎會は若頭の治崎が台頭し始めた辺りから、どうもきな臭い。個性消失弾というものを開発して市場に売り捌き、莫大な利益を得ているが、個性消失弾とやらの原材料には人の皮膚やら血やらが混在している。個性消失弾そのものが、何者かの個性因子を持ち寄って作っている可能性が高い。
｢何より一番ヤベエのが若頭の治崎廻だ｣
｢若頭、ね。何歳なの？｣
｢28だな｣
｢若いね｣
｢ああ。コイツが組を取り仕切る前はな、本当に普通の暴力団だったんだ。古き良きっていうのかね、人情と仁義を重んじて、個性は使わず昔ながらの暴力に頼る｣
｢あ、知ってるよ。シノギっていうんだろ？｣
｢まあ、そういうやつ｣
それが、組長が表に姿を見せなくなってから、治崎は次々に従来の運営方法を撤廃し、一切の温情を排除した冷酷な支配を敷いた。
その頃からだ。個性消失弾などというものが流出し始めたのは。
｢本来なあ、銃弾も含めて武器っつーのは取引価格が法外だ。何せ日本じゃ合法的には買えねえからな。そんで、爆発物不法製造者には重い罰が下る。だからマトモなおツムがある奴なら、製造ラインがはっきりしてねえモンは買わねえし取引にも応じない｣
それでも買いたがる物好きがいるから問題なのである。
義爛は苦虫を噛み潰したような顔で頭を搔いた。
｢これは俺からの依頼だ。どうしようもない世界だけどな、裏社会にも秩序があるんだよ。治崎廻を殺すのは、個性消失弾の実態を明らかにしてからにして欲しい。ヴィラン連合の連中は顔が割れてるから自由に動けないが、お前は違う。勿論報酬は連合のに上乗せする｣
義爛とAはブローカーとクライアントの関係だ。
それでもAには、行き倒れた所を助けてくれた恩も、それ以上の情もある。
Aにとって、義爛はヒーローだった。
｢･･････オレンジジュースお代わり。義爛の奢りね｣
｢お安い御用さ｣
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
