No.26 ページ26
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個性を発動できない状態で、エッジショットと超級ヴィラン二人を相手に立ち回ったのか。
銃声の直後、路地から転がり出てきた“死神”に赫灼熱拳を振るう。
普段なら生身のヴィラン相手にこんな真似は間違ってもしない。理由は馬鹿にでも分かる。死ぬからだ。
しかし、エッジショットと藍瀬を潜り抜けたこいつなら、と半ば実験的に繰り出した。
“死神”は右に転がって赫灼熱拳を避けると、立ち上がった所を上から叩き込んできたエンデヴァーの追撃のパンチを、
｢なっ･･････！｣
初めて目にする“死神”の、その頼りない体格からは想像もつかない膂力と胆力、身体能力の高さに、エンデヴァーは舌を巻いた。
エンデヴァーの拳を受け止められる者など、トップヒーローの中でも数える程だ。
“死神”はエンデヴァーの拳を全身をバネのように使って跳ねあげ、顎目掛けて回し蹴りをする。すんでの所で回避したエンデヴァーの顎が切れ、遅れて血が飛び散った。
崩れた体勢から蹴り上げただけでこの威力。一体どれ程の鍛錬を積んできたのだろう。痩せっぽちな体躯では、並の男の二倍も三倍も辛かっただろうに。
任務中だというのに、彼女と同い年の息子の顔が思い浮かんだ。
エンデヴァーが上体を直して再び捕らえようとするより先に、目を焼き切る程の閃光が視界を塞いだ。個性の体質上光に慣れているエンデヴァーでさえ、きつく目を閉じてしまう。
ハッと目を見開いた時には、遥か上空までその小さな影が上っていた。視認の限りでは既に高度800mは振り切っている。生身の体で、音速ジェット機と変わらぬ速さで飛んで行ったのだ。
高度300mを越えられてしまうと、幾らエンデヴァーでも追いつく事は不可能だ。
｢うひょー。あの加速、一体何Gに耐えてるんだか｣
血塗れの肩を抑え、ズルズルと壁にもたれながら路地を出てきた藍瀬が眩しそうに目を眇めた。
｢おい貴様、エッジショットはどうした｣
｢失神してるよ。撃たれてはない。急所やられちまって｣
藍瀬は浅く息を吐いて、汗の滴る頬をそのままに気弱な笑みを浮かべた。
｢あの子、態とでかい血管と神経を避けて撃ってくれたよ。お陰様でまだまだ稼業は続けられそうだ｣
イレイザーヘッドにエッジショット、エンデヴァー、そして公安所属の藍瀬が揃ってこのザマか。
エンデヴァーは見えなくなった影の先に広がる青々とした空を、ただ見上げた。
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リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
