No.21 ページ21
・
｢まさか美味しいところ全部ヒーローの卵に奪われるとはね･･････｣
｢でもイレイザーヘッドの所の生徒やろ？ちゅー事はイレイザーヘッドに手柄を全部奪われたっちゅー事や｣
｢うわあ、イレイザーって即物的だったんですね･･････｣
｢意味が分からん｣
都市部にあるとあるショッピングモールがヴィランの影響で封鎖したその日の深夜、やはりというべきか、公安に“死神”の捜査協力を依頼されていたヒーロー達が一堂に会し、会議が始まった。
通称・特捜班の班長は、毒々しいエナジードリンクを片手にモニターに映る人物を指示棒でかつかつ叩いた。
｢これは木椰区ショッピングモールの中央部に設置された休憩スペースの一角を映した防犯カメラの映像です。死柄木弔と緑谷出久が座っている隣に座る、フードを被った少女が、恐らく現在鋭意捜索中の“死神”と見られています｣
白いパーカーのフードで全く顔が見えないものの、その全体像をようやくお目にかかれた事で、今まで“死神”の捜索に苦しめられてきた者は、衝撃を受けた。
ファットガムのサイドキックが報告した通り、本当に小さく、ほっそりとしていた。ぴっちりとしたスキニーのラインは細く、小学生といわれても違和感がない。
イレイザーヘッドの生徒が証言した通り、パーカーのフードから僅かに見える髪は、陽光を反射して白銀に輝いていた。
｢ヴィランとは分かってても、色々心配になりますね｣
己の生育環境が余りよろしくなかった事を自覚しているホークスが呟いた。
ネグレクトや虐待.児特有のひょろりとした体には、嫌という程見覚えがあったのだ。
｢捕獲の時は油断大敵だぞ｣
｢分かってます。分かってますけど、彼女は確実に、俺達が見逃したこの社会の被害者だ。イレイザーの生徒さんの証言からしたら、“死神”は彼を守る為にわざわざ身バレする危険を冒して死柄木弔に話しかけたんでしょう？依頼を受ける条件といい、彼女には善悪の分別がある｣
もし、そうだとしたら。
モニターの光に照らされた会議室は沈黙に包まれた。
｢“死神”の特徴がある程度割れたので、我々は予定通り、捕獲作戦を決行します。彼女の身の上がどうであれ、これ以上社会を混乱させるのは我々にとって不得手です。この決断が、彼女の幸せに繋がる事を願いましょう｣
一堂に会した全員が迷いなく頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リサ(プロフ) - とても面白いです。続き楽しみにしてます！ (2021年12月7日 20時) (
レス) @page14 id: 942b3344d9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 面白いです！続き待ってます！！ (2021年12月7日 11時) (レス) id: 159bb94574 (このIDを非表示/違反報告)
クレア - 文が多いのにスラスラ読めて楽しい小説ですね、ここ(占ツク)に少ない雰囲気の作品なので、ちょっとラッキーな気分です(笑)！こういうの、私は好みですよ。 (2021年12月7日 9時) (レス) @page4 id: 730c5fdade (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エリンギ(サブ垢) | 作成日時：2021年12月6日 18時
