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階段を下りた先に見えた姿に、頭の隅に追いやられていた心配が戻ってくる。あぁ、無事でよかった…彼に何ぞ悪いことがあったら…そう考えると視界が歪む。

「まつ!」
「まつ、見に来ていたのか」
「おい前田、まつが泣きよるぞ。何したんじゃ」
「な、何、どうしたまつ…」

支えを伊達くんにバトンタッチして私の元へ駆けてくる利家くん。ボロボロと溢れる涙はそのまんまに彼を見上げれば、凛々しい眉を八の字に曲げてオロオロとしておる。
大きな手のひらで頬を包まれ、目元を優しく拭われ言葉を促す彼。

「まつ…?」
『…心配した』
「え?」
『…心配した!急にいなくなるし見つかれへんし、全然戻ってこんし、何ぞに巻き込まれて怪我してるんやないかとか色々考えて!』
「お、お、すまん!」

彼の胸元をグーで軽く殴りつけながら怒る。鳩が豆鉄砲を食らったような顔で話を聞く彼にまた怒りが込み上げて、

『ちゃんと聞いてる!?心配したんよ…!』
「悪かった。ほんなに心配しとるとは思わなんだ」
『…もう!』

殴る手を引かれ抱き締められる。彼の匂いとちびっとの汗の匂いに安心する。
よかった…本当によかった…

「まつちゃん、俺の心配はぁ?」
『みやびちゃんがしてくれてる!』
「みやびちゃんが…」
『ニヤニヤしない!』

そのまんま利家くんに手を引かれ教室に戻り落ち着いていると、チャイムが鳴る。

-皆さん、ただ今公認旗印が出ました。旗印提出は、特進クラスの徳川家康くん-

堂々と歩き教室へ入る徳川くん。なんとその旗印は、

-3分以内に武田信玄を倒す-
-それでは旗印戦、開始-

パタパタと廊下から足音が聞こえた時には、武田くんは既に倒れていたんや。

『利家くん…』
「…大丈夫や」

次元の違う徳川くん、私は利家くんに縋り付くしかなかった。


**********

これにて第二話完結です!
少しずつ(心情的にも物理的にも)距離を縮めていく2人を書くのは楽しいですね。
スローペースではありますが、1日1ページは進められればなと思っております。
気長にお付き合いくださいませ。

高評価、コメントありがとうございます!
大変励みになっております。
個別でお返事は出来ませんが、少しでも早く良いものを届けられるように頑張ります。

心を込めて。

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パンダ - 前田大好きなので応援してます (2022年10月8日 10時) (レス) @page22 id: 463b37ca19 (このIDを非表示/違反報告)
由希(プロフ) - 久しぶりの投稿ありがとうございます!!これからも応援してます! (2022年10月7日 23時) (レス) @page22 id: da4f381cbe (このIDを非表示/違反報告)
naな(プロフ) - 私も前田くん好きなので、楽しみにしてます!頑張ってください! (2022年10月4日 22時) (レス) id: 948a9abe41 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの権左ブロウ - 頑張ってください!応援してます (2022年8月20日 0時) (レス) @page21 id: e25671cd6c (このIDを非表示/違反報告)
あいる(プロフ) - 私も前田くん好きなので楽しく読ませてもらってます!更新楽しみにしてます♡ (2022年8月15日 23時) (レス) id: 8e4d5cdfdc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しろ | 作成日時:2022年8月8日 17時

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