新・信長公記-私はお松です！-

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『ビート対決…？』
「おはようまつ、遅刻け？」
『作り置き作ってたら遅くなっちゃった。ほんで、ビート対決って何？』

ちびっと遅れて登校すれば、上杉くん相手に旗印を提出した人がおるという。
しかもビートで倒す、と言ってドラムパフォーマンスをしておるなんというかビジュアル系の方。名前知れへんやごめんなさい。
音楽の先生が採点をするが、100点。

「はい、上杉終わった！」
『これ、100点満点とは限れへんよね。というかいちごちゃんってどちらさん？』
「さぁ？」
「明智、泣くな」
「誰？」
『バッハ…』
「なんでまつはほんなに分かるんだ？」
『なんとなく…？』

後手の上杉くんが出したのは琵琶。
琵琶はあまり聞かないがこれは、

『かっこええな…』
「えっ」

ほんで出た点数は28000点。何点満点なんやこの採点。
ほんでやはりいちごちゃんってどちらさん…？
ブーイングをする井伊くん達と、廊下へ出たみやびちゃんと豊臣くん。
うーん、なんだか嫌な予感がする。ほんなぽんぽん嫌な予感が当たって欲しくないんやけど。

「楽器弾ける男が好きか？」
『うーん、優しい人が好き』
「ほ、ほうか」

なんだかそわそわしておる利家くんを他所に、ちびっとだけ考えをめぐらせる。
嫌な予感、前回はみやびちゃん関連やったけど今回は…？

「あんなに琵琶がお上手なんですね」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
「俺も弾けるし〜！」
『謎の敵対心…』

少し離れた席でも聞こえてくる会話に突っ込めば、いーっとしながらこちらを見る豊臣くん。
それに手を振って返すと水晶を抱えた魔村さんが教室に入ってくる。
今日も美人やなぁ。

「一同、注目。今日からこのクラスに、転校生が加わります。どうぞ」
「徳川家康だ」

人生最大の鳥肌が私を襲う。思わず隣にいた利家くんの裾を握りしめがたがたと震える手をどうにかして抑えようとしたが、どうにも上手くいかない。
いっつも通り井伊くんが絡みに行くが、ゴミゴミと連呼し旗印戦に関しても馬鹿らしいと一蹴する徳川くん。
それをまた制そうとするみやびちゃんに、約束…！と思いながらも後ろすら振り向けへん自分がおる。
織田くんのお手柄で事なきを得たが、

『嫌な予感、的中…』
「まつ…」
『…ありがとう、利家くん』

裾を掴む私の手を包み込んで、落ち着かせようとしてくれる利家くん。
その大きな手の温かさと優しさに、ちびっとずつ震えは消えていった。

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