検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:12,426 hit

ページ41

そうして少し経つと、「それで話の続きなんだけど」と笑いのおさまったらしい左近が、話を戻す。

「確かに白谷先輩は、ぼくが困ってる時いつも最初に気づいてくれてた」
「やっぱり……」
「それでぼくも、それがどうしてか分からなくてモヤモヤした時期があったんだ」

左近が、何かを思い返すように目を細めた。 そうしてから、眉尻を下げて笑む。 「結局、自分じゃ答えは出なかったんだけど」そうして、続けた。

「でも、竹谷先輩が教えてくださったんだ。 白谷先輩は、ぼく達のことをすごく大切に思ってくれていて、それだけだと他の先輩方と同じなんだけど、白谷先輩はね、人の瞳の色をよく覚えているんだって。 だから、それで普段と悩んでいる時を区別してるのかもしれない、って竹谷先輩は仰ってた」

考えながらも左近はそう告げた。
その言葉に、ぼくは何となく、ストンと胸に落ち着くものがあって。 瞳でどう判断しているのかなんてさっぱり分かりやしないのに、確かに、と思ってしまった。
ぼくに悩みはないかと尋ねてくる時、白谷先輩は屈んでぼくの瞳をじっと覗き込んでくる。

「それに白谷先輩は、何か、人から負の感情を吐き出させて処理するのが、すごく上手なんだって。 竹谷先輩が下級生の頃は、今よりも無神経だったって聞いたけど、後輩が増えて、変わられたんだって仰ってたよ」
「……そうなんだ」

いつの間にか、ぼくだけでなく、三郎次と久作も左近の話に聞き入っていた。
左近は一年生の頃を思い出しているのか、柔らかい笑顔を浮かべていた。

「白谷先輩って無愛想に見えるけど、おれ達のこと気にしてくれてるんだな」
「そうだよ、久作」
「でもなんで、四郎兵衛には聞くのに、ぼく達には聞かないんだろう」
「三郎次、嫉妬?」
「ちっ、違う!」

久作が揶揄うように笑う。 それに三郎次は声を張り上げて、違う違うと訂正していた。
多分だけど、とそれを無視して左近はぼくに言う。

「四郎兵衛はほら、控えめだから。 それに委員会の先輩が、ほら…… ええと、あんなに個性的じゃあ、あんまり気にしてもらえないんじゃないか? だからきっと、白谷先輩が代わりに四郎兵衛の事を気にかけてるんだと思うよ」

(七松先輩という暴君がいるしな……)
(左近言葉選んだな……)

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
設定タグ:忍たま乱太郎 , 忍たま , RKRN
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:星月夜 | 作成日時:2019年2月3日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。