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「Aちゃん、パンツ白じゃーん!へー、可愛いねえ」
「……えっち」
「いやいや、そんな所に立ってたら見えちゃうでしょ。っつーか、他の野郎には見せんなって!」
背中を向けたまま答えると自然と、恐怖が消える。この人ってば本当に凄い。現れてくれただけでこんなにも安心する。え、あれ、て言うか集会は?
疑問に思いながらもそれを聞く事は出来なかった。
「アァ?邪魔すんじゃねえぞ!」
「ぶっ殺すぞ!」
男達の言葉に少し、振り向いて見る。ジャンプして準備運動する村山さんの目はとても、鋭かった。男達を睨み付けると口にする言葉のトーンはとても低く、怒っているのが分かる。
「……それはこっちのセリフだよなぁ?」
鈍い音が響かせたかと思えば男達はすぐに、地面に寝転がってしまった。うわ、凄い。呆然と見てしまっていれば反対側に居た男達がフェンスを登って来ようとしていて、驚いてしまう。
え、やばい、降りれなくなった。
「Aちゃん!」
名前を呼ばれ振り返ると両手を大きく広げた村山さんの姿。大丈夫、と言うような瞳に私は迷わず彼に向かってジャンプすると、優しくも力強く受け止めてくれた。
ああ、本当に村山さんってヒーローだ。また、助けてくれる。
「大丈夫?怪我無い?」
「大丈夫、怪我してない。……ありがとう」
「どういたしましてー。さ、逃げよっか」
笑顔の村山さんに頷いて見せれば走ろうと足を踏み出したが、痛くて思わずしゃがみこんでしまった。足首を捻っていたのを忘れていた。逃げる時は必死だったから忘れていたが、安心した今、あまりの痛さに声に出してしまった。
「……いった!」
そんな私の顔を覗き込んで来た村山さんの顔は少し、怒っていた。あ、これ怒られるやつだ。呑気に思っていれば急にお姫様抱っこされてしまう。
「え、あ、ちょ!」
「はーい、嘘つきさんは大人しくしてくださいねー。あー、俺コイツらまじでぶっ殺してえ」
「物騒な事言わないで。……うー、大丈夫だってば!ちょっと捻っただけだから!」
「……Aちゃんは分かってないねえ」
村山さんの言葉に首を傾げる、何だろう。迷惑掛けちゃったかな、出歩くなって言われたのに出歩いちゃったもんなあ。だって、村山さんに会いたかったの。何故か急に。付き合ってる訳じゃないし、好きだとも言ってない、言われてない。それでも、急に恋しくなってしまった。
あーあ、こんなの完全に恋だよ。好きだもん。
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ハゲ天使(プロフ) - りなさん» 感想ありがとうございます!そう言って頂き、嬉しいです!6月辺りまで忙しいので、その間に沢山ストック出来ればと思ってます。お待たせしてしまいますが、お待ち頂けたら嬉しいです! (2021年4月20日 1時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 面白いです!!!また書いて欲しいです!!すごく好きです(*^-^*) (2021年4月19日 21時) (レス) id: 6f526db43c (このIDを非表示/違反報告)
ハゲ天使(プロフ) - ぽんさん» 書き込みありがとうございます。此方の確認不足で外し忘れておりました。今後このような事がないよう、気を付けていきます。直ぐに確認して外させて頂きました。本当にありがとうございます。 (2020年9月26日 3時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハゲ天使 | 作成日時:2020年9月26日 2時