あの人の妹は燕戦士！ (ページ49)

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時は来た。ページ49

「杉谷さん、契約の内容を忘れてはいないだろうね？」

『勿論です。』

交流戦が終わった頃、スワローズのオーナーさんに呼ばれ、何かと思えばやっぱりこの話。

この世界にいるべきではない私が輝くためのただひとつの約束。

『選手間でのスキャンダルを防ぐため、１年目のみ、オールスター戦が終わったらパ・リーグのチームに移籍してプレイする…ですよね。』

「その通りだ。そろそろその話を進めたいと思っている。」

私が輝くために交わされた契約。

１年目のみ、というのは、私をセ・パ両方の選手、ファンに認めてもらうため。

その一年が終われば、私が行きたい球団を選べる。

贔屓だ、といわれるかもしれないけど、それは球界と私を守るためのものだから。

「今のところ一番濃厚なのは、ファイターズ。次がホークスだ。正式決定はまだだが。」

『それは私の意見も聞いてくれるんですか？』

「意見の通りに、というわけにはならないが、聞いておく。」

どこに行きたいんだ？と聞かれれば、答えはただひとつ。

夢だった兄妹二遊間を実現するときが来た。

後は、私がむこうで活躍するのみ。

「私は……ファイターズに行きたいです。」

数日後、Aの移籍が監督やスタッフに伝えられた。

しかし、試合に集中させることや混乱を防ぐことを理由に、選手やファンへの発表は遅れた。

選手やファンへの発表がなされたのは7月6日…

オールスター戦まで、残り一週間の時だった。