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しーん、と静まり返る部屋。
彼女が少し動くたびに布団とシーツが擦れる音がするだけで。俺はというと、仰向けになったまま1ミリも動けず固まっている。くそ……寝れねェ。
「不死川、さま」
「なんだ」
「………やっぱり、なんでもないです」
「………」
もぞもぞ、ごそごそ、と隣の布団から音がする。疲れてとっとと眠りたいはずなのにその音が気になって仕方がなく、全く眠気が降ってこない。
「あの、……」
「だァから、なんだよ」
「……眠れ、ないんです」
「……は?」
眠れない、だ?
怪我をしたところが痛ェのか?それともこの部屋が寒い?
「……あの、私……初めての場所って寝れなくて……なんか不安で……」
「……」
「……」
「…どーしてほしい」
「手を、握っていただけませんか…?」
ふざけんな、と言いたいところだがまたあんな風に泣かれちゃ元も子もねぇ…
躊躇いながら彼女の布団のほうに手を伸ばすと、少し冷たい細い指に触れ、そのまま小さな手をぎゅっと握った。
「…これで寝れんのかよ」
「あったかくて…安心、します」
「………」
「ありがとうございます」
「…早く寝ろォ」
「はい、おやすみなさい」
寝れない、なんて言っていたのは嘘のように、少ししたら彼女からすーすーと静かな寝息が聞こえてきた。
俺はというと、触れている部分ばかりが熱く、そしてさっきから心臓が激しく音を立てていて、なぜだか身体は汗ばんできて暫くの間寝付けなかった。
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もみじ(プロフ) - 覚悟を決めし者さん» 決めしちゃんありがとう!(;;)私はここではお話投稿しなくなるけど、相変わらず決めしちゃんのファンだし、これからも決めしちゃんのお話を読者として楽しみにしてるね^^才能に溢れた決めしちゃんが大好きでした!ビッグラヴ!!!! (2021年3月27日 19時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - 短い間だったけれど、仲良くしてくれてありがとう……!もみじちゃんと出会えてよかったです!!連投ごめん!!!!ビッグラヴ!!!!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - もみじちゃん……!!コメントが遅れて申し訳ない( ; ; )完結おめでとう!!!恋愛に鈍くて初心な不死川さんらしさが溢れた素敵な作品でした……!!もみじちゃんが占ツク卒業しちゃうの死ぬほど寂しいけど、ずっと応援してるからね!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 蓮さん» 蓮ちゃんありがとうっ!もう蓮ちゃんに言いたいのは……ただただ大好き!!!!それだけ!!!!これからは蓮ファンクラブ代表として読み手にまわるね^^本当にありがとな!!! (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 古猫丸さん» わっ…まさか古猫丸様からコメントをいただけると思っておらず震えておりますっ。私には勿体ないお褒めのお言葉…本当に嬉しいです。ありがとうございます(;;)私、古猫丸様の書く煉獄さんがすっごく大好きなのでこれからも読みにいかせていただきますね^^ (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もみじ | 作成日時:2021年3月1日 19時