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12. ページ14

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ー甘味処くらいいつでも一緒に行ってやる



なんて大口を叩いたが、そう頻繁に会う間柄でもないし、かと言ってわざわざ鴉を飛ばして日程を合わせるなんてことも勿論なく。


約二ヶ月後の任務で、あの日以来の彼女と顔を合わせることになった。




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鬼が出るという森の麓で落ち合う。


「不死川様、お久しぶりです。今日はよろしくお願いします」


もう見慣れたその深すぎるお辞儀。そして、今から己の命をかけて戦うというのに何故か嬉しそうに頬を染めている彼女。

かく言う俺もどこか浮き足立っているのか…その姿を見て「よろしくなァ」なんて言いながら柄にもなく微笑んでしまった。




調査した者の話によると鬼は恐らく一体だがその大きさがそこらの雑魚鬼とは桁違い。




「行くぞォ」

「はいっ!」





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3メートルほどある鬼の腕に刃を振るう。スパッと音を立てて斬れたその腕は大きく宙を舞った。

それと同時に高く跳んだ彼女が怯んだ鬼の首を斬り落とし、醜い断末魔が山中に響き渡った。


安心したような彼女の顔を見たのも束の間、その頭上から降ってくる鬼の巨大な片腕に気付き「避けろ!」と声を荒らげるも、気づかない彼女はポカン、としていて。


まずい……、そう思って咄嗟に身体が動いた俺は数メートル離れたところにいた彼女のもとへ飛び覆い被さった。





ードスン


大きな音を立てて、俺と彼女のすぐ横に落ちた腕。




「危ねェ…」

「………っ」



俺の下に居る彼女は何が起きたのか、と目をぱちぱちさせて怯えている。




「怪我ねぇか?」

「はい、大丈………不死川様っ?!」

「あ?」




彼女の視線の先、つまり俺の左肩を見ると、落ちてくる時に掠った鬼の爪でザックリと切られ白い羽織が赤く染まっていた。

横に落ちてある鬼の腕を見て状況を理解した彼女の顔は一瞬にして青褪める。



「ごめんなさい、私のせいでっ…」

「いやアンタのせいじゃねぇよ」

「か、隠の方をすぐに…っ」

「いらねェ」

「でも、」



大丈夫だから落ち着けェと怒鳴ると、ビクッと肩を震わせて黙りこくった。



「麓に藤の花の家紋の屋敷がある」

「……はい」

「アンタも怪我してんだろォ。行くぞ」



羽織をビリっと破いて、自身の切り傷にぐるぐると巻いて縛り付けた。

俺はどうだっていいが彼女も着地の際に足を挫いたのを見た。



「歩けるか?」

「はい…」



二人で、来た道を戻り、目的の屋敷まで脚を進めた。

13.→←11.〜Another side〜



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もみじ(プロフ) - 覚悟を決めし者さん» 決めしちゃんありがとう!(;;)私はここではお話投稿しなくなるけど、相変わらず決めしちゃんのファンだし、これからも決めしちゃんのお話を読者として楽しみにしてるね^^才能に溢れた決めしちゃんが大好きでした!ビッグラヴ!!!! (2021年3月27日 19時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - 短い間だったけれど、仲良くしてくれてありがとう……!もみじちゃんと出会えてよかったです!!連投ごめん!!!!ビッグラヴ!!!!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - もみじちゃん……!!コメントが遅れて申し訳ない( ; ; )完結おめでとう!!!恋愛に鈍くて初心な不死川さんらしさが溢れた素敵な作品でした……!!もみじちゃんが占ツク卒業しちゃうの死ぬほど寂しいけど、ずっと応援してるからね!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 蓮さん» 蓮ちゃんありがとうっ!もう蓮ちゃんに言いたいのは……ただただ大好き!!!!それだけ!!!!これからは蓮ファンクラブ代表として読み手にまわるね^^本当にありがとな!!! (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 古猫丸さん» わっ…まさか古猫丸様からコメントをいただけると思っておらず震えておりますっ。私には勿体ないお褒めのお言葉…本当に嬉しいです。ありがとうございます(;;)私、古猫丸様の書く煉獄さんがすっごく大好きなのでこれからも読みにいかせていただきますね^^ (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もみじ | 作成日時:2021年3月1日 19時

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