検索窓
今日:5 hit、昨日:140 hit、合計:154,109 hit

11.〜Another side〜 ページ13

「そこの角を曲がってすぐのところなので、ここで大丈夫です」

「あァ」



お辞儀をすると、フッと少し口角をあげて笑ったように見えるその表情に心臓がギュッと締め付けられる。


ちゃんと、最後に気持ちを伝えて、もう彼を困らせないように、言わなくちゃ…。



「不死川様と甘味処に行けるなんて…これ以上ない幸せでした」

「……そうか」

「やっぱり、私の思っていた通り、不死川様は優しくて素敵な方でした」


今日、不死川様が甘いものを好きだと言うことを知った。おでこにできた傷に彼の指がそっと触れてくれた。焦ったいだろうに、私の小さな歩幅に合わせて一緒に歩いてくれた。


「好きと言ってしまったこと、本当にごめんなさい。でももう、不死川様のことを好きなのは、辞めます」


なんとなく、彼は今日一日ずっと辛そうだった。あの日、私が涙なんか見せてしまったから…優しい彼は、こうして私を気にかけてくれたんだろう。


「なので……これからは以前通り、部下として、普通の隊士として、接していただけたら嬉しいです」



ここで泣いてはいけない。もっと彼を困らせてしまうから。



「辞める必要ねぇんじゃねえの」

「…………え?」

「ンなので幸せだってんなら、甘味処くらいいつでも一緒に行ってやる」



え……?
聞き間違いかと、自分の耳を疑ってしまうほどの言葉だった。



「じゃ、」


気不味そうに私から視線を外した不死川様は、それだけ言うと踵を返した。



「不死川様………!」



辞めなくて、いいの?



「私…不死川様のことを好きでいても、いいですか?」

「………勝手にしろォ」



去っていく背中をただただじっと見つめた。

叶わないと分かっていながら思い続けることがどんなに辛く苦しいことか、この時の私は知る由もなかった。

12.→←10.〜Another side〜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (410 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
609人がお気に入り
設定タグ:不死川実弥 , 鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

もみじ(プロフ) - 覚悟を決めし者さん» 決めしちゃんありがとう!(;;)私はここではお話投稿しなくなるけど、相変わらず決めしちゃんのファンだし、これからも決めしちゃんのお話を読者として楽しみにしてるね^^才能に溢れた決めしちゃんが大好きでした!ビッグラヴ!!!! (2021年3月27日 19時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - 短い間だったけれど、仲良くしてくれてありがとう……!もみじちゃんと出会えてよかったです!!連投ごめん!!!!ビッグラヴ!!!!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
覚悟を決めし者(プロフ) - もみじちゃん……!!コメントが遅れて申し訳ない( ; ; )完結おめでとう!!!恋愛に鈍くて初心な不死川さんらしさが溢れた素敵な作品でした……!!もみじちゃんが占ツク卒業しちゃうの死ぬほど寂しいけど、ずっと応援してるからね!! (2021年3月26日 22時) (レス) id: 37c69db3c0 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 蓮さん» 蓮ちゃんありがとうっ!もう蓮ちゃんに言いたいのは……ただただ大好き!!!!それだけ!!!!これからは蓮ファンクラブ代表として読み手にまわるね^^本当にありがとな!!! (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
もみじ(プロフ) - 古猫丸さん» わっ…まさか古猫丸様からコメントをいただけると思っておらず震えておりますっ。私には勿体ないお褒めのお言葉…本当に嬉しいです。ありがとうございます(;;)私、古猫丸様の書く煉獄さんがすっごく大好きなのでこれからも読みにいかせていただきますね^^ (2021年3月25日 16時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もみじ | 作成日時:2021年3月1日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。