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「これ、使ってな」
タオルと着替えのシャツを手渡す
「いや、俺このままで大丈夫なんで」
そう言うと、タオルだけ頭に被せてガシガシと拭う
「服も着替えや?そんなびしょびしょで風邪ひいてまうよ」
「じゃあ半裸でもいいっすか?」
「余計あかん!ハレンチやぁ」
「男同士やないですか」
「そうやけど、お客さん来るかもしれへんし」
「じゃあやっぱこのままで大丈夫っす」
「せやからあきませんって!風邪ひいてもうたら僕、君の親御さんになんて言えばいいか…」
「別に気にせんといてください。さっき調べたらすぐ止むみたいやし」
バッと目の前に突き出されたスマホの画面には
日本地図の上を青い雲が左から右に動いていく
「これが現在地で、これが雨雲の動きってことなん?今どきの子はこんなのまで使いこなしてんねや。すごいなぁ〜」
僕なんか、メールと電話とカメラと検索機能ぐらいしか使えへんのに
あれ?けっこう使えてる?
僕すごいやん♪
あれ、なんか忘れて…
あ!
ふっと顔を上げると
眉間にぎゅっとシワを寄せた
冷たぁーい視線…
「で、でも、そんな格好でおられたら、僕が見てるだけで寒いから、これ着てくれへんかな?」
そう言うと、まぁ、しぶしぶって感じで、服に袖通してくれてひと安心
だってこの子めっちゃ細いんやもん。
ホンマにちゃんと食べてるんか心配なってまう
「あ、ちょっと待っててや」
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作者名:時音 | 作成日時:2021年11月3日 10時