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「いつもここの唐揚げ、大盛りやと7つ入ってるやろ?俺1つしか食べてないねん。せやから、6つ残ってるはずやねん。けど、今4つしかないねん。なんでやと思う?」
唐揚げと俺の目を交互に見比べる大倉
これ、やっば…
「な、なんでやろなぁ…。お店の人間違えたんちゃう…?」
なんとかごまかさんと
「へぇ…」
ちょ、近い近い
目がガチやって怖いて
「亮ちゃんの唇、なんでこんなテカテカしてるん?」
大倉のデカい手で
ほっぺむぎゅって掴まれる
「さ、さっきリップ塗ってん!」
ちょ、近い近い!
「じゃあさ…」
ゴクッ…
「亮ちゃんをちょーだい」
えっ…?
パクっ
「ん、おいしい♪」
食べられ、た…?
大倉の唇が
唐揚げの油でテカテカの唇が
むぎゅってせんくても
飯口いっぱいに頬ばれば
いつもアヒルみたいになってた
あの唇が
俺の唇に触れた
触れたって言うよりは
「何見てんの?」
何って
「もうあげへんからね」
それは
唐揚げのことか?
それとも
「欲しい?」
欲しい
って、言うたら?
「あげへんよ?」
そ、そやんな…。
そらそうやわ!
何を考えてんねん俺。
「今は、な?」
end.
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作者名:時音 | 作成日時:2021年10月9日 0時