君と俺を繋ぐ約束。【カゲプロ】

幸せな日々…11 ページ11

あれから抗ガン剤を使い始めた。
それの副作用も強く、体調の優れない日や寝ている時間が増えていた。

その姿を見て、どんどんと辛くなっていった。
メカクシ団のみんなは俺とAの二人きりにしてくれることが多い。

いい事なんだが、これ以上苦しんでるAを見ていたくなかった。

俺は寝ているAを見るたびこっそりと声を殺して泣いた。

「出来ることなら…俺が代わってやりたい」

俺は小声で呟いた。
そしてAの頭を撫でた。

頭もツルツルのスキンヘッドになってしまっていた。
Aもショックを受けていたが、みんなの前では「平気だよ」と笑って誤魔化していた。

俺はAを見るたび心が張り裂けそうになった。
俺はAの胸元に頭をつけて泣いていた。

その時、急にAが起き上がった。

「んっ…キド…？どうしたの、泣いて…」

Aは俺の心配をして、悲しそうな顔をした。
俺はそれを誤魔化した。

「た、ただっ…目にゴミがっ！」

そう言うとAは「嘘つきっ」と言うとおでこにキスした。

「誤魔化したらだめ…僕のせいだよね？」

そう言うと落ち込んで下を向いた。
そしてどんどんとAのシーツが点々と濡れて行った。

「悲しませてごめんっ…キド、元気だしきっと治るからさっ…！」

Aの顔を見ると、久しぶりに泣いていた。
俺は首を横に振り、Aのアゴをくいっとあげた。

「泣くな、お前は悪くない…それに、Aは約束を守る男だろ？信じてるぞ…！」

俺はありったけの笑顔で笑った。
そうすると「そうだね、ごめん」と笑った。

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