僕らの彼女は猫かぶり。2期 【名前変換オリジナル】

？？「……ならいい」 ページ10

「晴くん、一つ聞いていい？」

「なんだ」

俺は腰に手を当てて、喉を鳴らしながら牛乳を飲む。

うん、とAは俺の布団を整えながら続けた。

「思い当たる節ってのが、すごい気になるんだよね」

「あー…」

牛乳を飲み終え、口の端を腕で拭きながら唸った。

ま、いいか。

コン、とキッチンにコップを置く。

「勉強から抜け出したんだよ。トイレ行くふりして、窓から飛び去った」

ウチは大規模な会社を運営しており、俺はいわば御曹司。今のうちからよくわからない経済やらなんやらの勉強を強いられる。

害虫駆除は本当の事だろう。きっと勉強後伝えたかったのか。

だからって、なあ。

俺は天井をやれやれと見上げ、使用人の横山の顔を連想する。苦笑いをこぼす。

「御曹司を外に放るかフツー」

「御曹司……すごいね」

あはは、と軽く笑いのけてしまう彼女にいちいち反応してしまう俺は、本当にどうかしていると思う。

まあな。

しばらく笑い合う二人。

が、あることに気がついた。

「ん、親父さん」

「お、親父さんだって！？君にそう言われる筋合いは」

「お父さん。近所迷惑です」

「はい」

階段からすごすごと出てきた親父さん。覗きとはいい趣味っすね。俺はじーっと彼を見つめた。

ほっそい体だ。小柄で、威厳も何もない。ウチの親父とは大違いだ。

こんな人でも、立派な親、なんだな。

ちょっと感心する。

(な、なんでにらんでくるの！？怖いよ、お父さん泣いちゃう！)

親父さんがそう思っているのを俺は知らない。

うん。→←うん……頑張るけどさ。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す