俺は魔王で嫁が勇者で個性的な仲間に囲まれてもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】

163枚目 ページ30

「一つ、ヘンなことに気付いたんだってさ」

ササキが淡々と紡ぎ出す言葉に、彼ははて、と首を傾げた。その様子を見て、彼女はおや、としたり顔をして見せる。

「もしかして気づいてないの？リストっちのことだよ、Aっちのお父さん、元魔王ショタ！」

「そこまで言わずとも。それで、リスト様が何か？」

彼女はボールやら何やらが置かれた、自身の机に両肘をつき、両手を組んでは顎を乗せた。執事の方を向かずに口を開く。

「Aっちがシルヴァちゃんを宰相にする前……いや、もうちょい前かな。Aっちが魔王になる前から。前の宰相だったハゲはさ、悪政しまくって民衆困らせてたじゃん？」

「以前の宰相……確か、ルマンドさんですね。ええ、確かに。私は何もできませんでした……」

しょんぼりと肩を落とすアルフレッドに、まあまあ！と明るい笑いを向けたササキはそのまま続ける。

「あたしもずっと研究室に籠もってたから正直知らなかったわ。で、そこでリストっちの謎なの！」

「そこでって、もう、遠まわしなのはやめてくださいよ」

困ったように眉を下げる彼に、しょうがないなあとササキは意気込んだ。人差し指を立て、執事に向き直る。

「ずばりだね。どーしてリストっちは悪政を止められなかったのかなって。魔王様だったのにさ」

「……あ」

確かに。

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