俺は魔王で嫁が勇者でギャグ小説ってもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】

132枚目 ページ44

「どこ行ったんだリオナちゃん……」

まさか誘拐？ナンパに連れて行かれた？スカウトされて事務所行っちゃった系？

なわけないか、と口角をあげながら、俺は周囲を確認しつつ全力で桜並木を潜り抜けていく。超あったかくていい天気のせいか、額には汗がにじんできた。汗臭い奴やん俺。

しばらく走っていると、何やら騒がしい女性たちの声が聞こえた。いや、みんな色んな軍団が騒がしいんだけどね？基本おっさん会とか飲みサーとかの低い声の中、ひときわ俺に届いた聞き覚えがったりなかったりする声。ちょっと息が上がってる中、小走りで声のもとへ向かった。

そこには、あの実験とか好きなササキさんと……えーっと……は？

「あはははははははは！やだもー、ササキってば！そのハートメガネ超うけるんですけど！」

ネットの掲示板なら語尾に大草原ができるほどけたたましい笑いを起こすリオナちゃんの姿が。右手には油性ペンで『実験ドリンク』と書かれた缶ビールを持っており、彼女の顔はこれでもかというほど真っ赤である。うそん。

ササキさんはハートのメガネをずらした状態でかけており、垣間見えるその目は動揺に満ちている。ひきつった笑いでリオナちゃんを見ていたが、俺に気づくやいなや、どでかい声で叫び、大きく手を振った。

「あっー！Aっち偶然だねえ！ほらほら、旦那さんの登場だよ奥さん！はよ駆けつけてあげてもうあたしを構わず！」

Aっちって何。まあそれはともかく。うん。

そう言ってササキさんはリオナちゃんの背中を押し俺にダイブさせる。いや結構無礼じゃね？后様と魔王様の扱い雑だろ。もう慣れちゃったけど！

そのまま去っていったササキさん。俺はあー……と胸元に顔を埋めたリオナちゃんの様子を見つめる。大丈夫か、と声をかけようとした矢先、彼女の体が小刻みに震え始めた。

え、あ、毒盛られた的な！？ヤバいやつじゃねえか、おいおいおいおい。

「おい、リオナちゃん！しっかり……」

「……こ、行って……よ」

「え？」

リオナちゃんは顔を上げ、上目遣いになる。顔を赤くさせた顔は憂いており、ルビーのような瞳には涙が溜まって、きらきらしていた。

「っ、どこ行ってたのよ！Aの、ばかぁ……！」

「…………」

俺の嫁がキャラ変えてきて、ちょっとツボな件について。

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