俺は魔王で嫁が勇者でイベントあり過ぎてもう意味わかんないけど楽しくやってます。【名前変換オリジナルファンタジー】

50枚目 ページ8

「……不法侵入者、だと」

「はい。女と男が城門にて不審な動きを見せ、現在は地下牢に拘束中であります」

フィーハル王国、国王の間。一人の男がふむ、と頷く。ラギファルト大帝国ほどではないものの、質の良い王座から腰を上げる。

「なかなかのたわけもいるのだな。顔でも拝むか」

「かしこまりました次第であります」

従者は国王に向けて敬礼をした。窓からは、小鳥のさえずる音と、暖かな日光が差している。一見、平和で治安の良い国だが、果たして＿＿




「へい、そこの若者」

「んだよくそじじい」

素行悪ッ⁉なんだこの兵士、態度悪すぎだろ。クレーム言っちゃうよ、モンスタークレーマーにおっさんはなる！って奴だからなこの野郎。ピカ〇ュウ連れてきたろか畜生。つか尻痛いんだよねここ、冷たい石床とかマジで客のもてなし方知らないのな、助けて滝川ク〇ステルさん。「おもてなし」で撃退してくれこの兵士！

……まあ、撃退したらしたで大問題なんだけどな。どうしたらいいもんかねぇ、このご時世は。

どうしたもんかー、と頭をかきむしる俺を一瞥した後、兵士はまたそっぽを向いた。

「こっちはじゃが〇こ食ってる時にいきなり呼び出されたんだ。オレのじゃがバターが一本床に落ちたんだよ！」

「じゃがバターが！？おじさま、謝ってください」

「ななななんでリオナちゃんまでっ！？」

リオナちゃんの名を出すと、ん、と兵士の動きが止まる。

「リオナ……今、リオナ様ｔ」

「ちょ、待って待って。ほら、ばか〇け！おっさんば〇うけならあるから！おいしいよ？」

「……考えすぎか。おいじじい、ばかう〇寄越せ」

牢に手を伸ばす青年。赤茶色の髪が牢屋の松明に照らされていて、蒼い瞳がぎらぎらと光った。むすっと結ばれた口元に、凛々しい面持ち。RPGの勇者感半端ないんだけどこいつ。

俺はポケットの中から〇かうけを取り出し、彼に渡す。

「＿＿青年くん、名前なんていうの？」

「うわっ、新手のナンパかよ。お菓子でつるとかホント卑怯で姑息だな」

「貴方の名前は何ですかコノヤロー」

ばか〇けを持った青年は、にやりとして俺を見やる。

「オレはラファエル。敏腕イケメン兵士だ」

「自分でハムっ、イケメンってむぐ、いうのね……んぐ」

「わがまま童顔兵士の間違いだろ」

はむはむと、いつのまにか俺から掏った(すった)ばか〇けを頬張るリオナちゃん。空になったポケットは、容赦なく俺の精神を削り取る。

……畜生！

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