囲われたミツと花【前編】

24 F ページ24

せっかくポケットに入っていた必要のない文字が書いてあったゴミは破り捨てたのに。
痛い目に合うことが必要なんだね？



俺の肌の色に馴染んでいく日焼けした肌を堪能するのは、快感も増すし悪くない。




でも、ダメだ。
絶対に許さない。
その肌をまた白く戻してあげるから。



半給申請を終え、向かったわたの会社から、
一緒にウチへと戻る。例のごとく、家に電話をかけても、その電話は取られることがなかった。



ジリジリと嫉妬心が湧き上がり、胸が張り裂けそうな程、苦しくなる。



マンションに着き、部屋に入ってもガランとしていて、誰も「おかえり」と言ってはくれなかった。
「おかえり」と言って待ってさえいてくれれば…他の事などせず、ただそれだけをしてくれればいいのに。



なぜ、宏光は出て行くんだ？
あれほど、外は怖いと、もう出たくないと言っていたのに。



あんこも、いない。
ボードの上に、赤色の首輪とリードだけが置かれていた。




「…わた、お願いしてもいいかな」
「玄関だけでいいんだよな？」
「ああ、今回は、ね。」




今日で、きっと1週間か。
宏光の肌が焼けてきて、1週間。
外は平気だと安心したところでの、お仕置き。



きっと恐怖は倍増だよね。



宏光、宏光は俺だけを見てればいい。
俺だけのために生きていればいい。



「太輔、できたぞ」
「ありがとう、わた」



もう野放しにするのは、限界だ。
カメラも付けたことだし。



スマホを取り出し、アプリを立ち上げる。
そこには、この玄関が映っていた。




「蜜は、俺が守らないと」



そっと、電気を消して
ドアを閉めた。


＊



「ただいまー」
「おかえりっ！太輔！」
「わんっ！」



一度外へ出て、わたとお茶した後、いつも通りの時間に再度帰宅をした。
玄関のドアを開ければ、敏感にその音に気付いた宏光があんこと小走りでやってくる。



靴を脱ぎ立ち上がると、宏光をぎゅっと抱きしめた。今日も俺が選んだシャツとズボンを履いている。



そして、今日も日焼けで鼻の先が紅くなり、白い皮が少し捲れていた。



「…赤くなってるよ。ローション塗ってあげる。今日もバルコニーで日光浴したのか？」
「あ、ん。そう、本当に俺、焼けやすいからなあ」



へへっと誤魔化し、頬を指で掻く宏光。
焼けやすいよね、本当に。



「じゃあさ、全身確かめさせて？」
「…え、」
「抱きたい」



嫉妬もあと少しの我慢だ。
手首を掴み引きずるようにベッドへと押し倒した。

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