恋は何歳まで出来ますか？

帰ってこなかった朝 ページ9

カレーは冷蔵庫に入ったまま
カツは電子レンジに入ったまま。
オレはテーブルに伏せ眠ったまま。


うつらうつらと起きた双眼が捉えた時計が映し出す時間は5時だった。
決して、夜ではない。


まだ陽も上がっていない早朝5時ということだ。



「何も羽織らず眠って…」


腹も満たされず、立ち上がって向かったキッチンの台にある炊きたてだったはずのジャーには保温時間が9時間と表示されていた。


さむい。
暖房は辛うじてついているけど、まだ寒い。
乾燥する。



玄関を見ても靴はない。
弟の部屋に行ってもベットは温かくなくて抜け殻さえない。


…むかつく。


別に待ってなんかなかったけど！


って、オレあの人の電話番号知らないわ。


寝起きでオレの癒しの母さんまでいない今、機嫌のバロメーターが最大限に悪い。
腹の虫がおさまらない。



宮田…！


早朝5時なんて関係ない。
財布を取り出すと、昨日渡されたレシートを捲り、電話をかける。
今はテレビ通話が支流となっていて、かけた画面には、瞼が半分しか開いていない二階堂さんが映った。
…裸。


『ん…たかし、？』
『…なんか電話かかってきたんだけど』


半目小僧が。裸で、隣の健ちゃんの肩？まで素肌なんだけど。別にそれ以上は見えてないし、問題ないけどさ。いくつなんだよ、あの二人！
昨夜盛ったのか！


…って。オレの両親もか。


いい歳した大人が…
いやそれは関係ないか。
恋は何歳まで出来るもんなんだろう



「朝早くすみません。裕太です」
『あれ？裕太くん？』
『あ！昨日、高嗣の番号教えといたの！何かあったら掛けてって』


画面の中の二階堂さん夫婦は段々と覚めてきたようで、二階堂さんの半目だった目は開かれていた。


『、健ちゃん。もうちょいあっち行って？裕太くんに見えちゃうから』
『あら』


あら、じゃないよ。
ま、早朝に掛けているオレが100%悪いから仕方ない。


「本当に朝早く申し訳ないんですが、単刀直入に言います。宮田の電話番号教えてください」
『宮田ねー。健ちゃん、宮田の電話番号言って。裕太くん録音できるよね』
「はい。お願いします」



画面の向こうで、姿は見えないけど健ちゃんが数字を読み上げてくれた。
それを機能を使ってその部分だけ録音する。すると、その録音がアプリを使ってメモとなり、電話帳へと登録された。


この桁数の数字に反応する仕様となっている。


「ありがとうございました！」


そう言って、切るオレはどう考えても子供だ。

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