恋は何歳まで出来ますか？

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学生生活、仕事、宮田で毎日忙しいけど楽しくて、充実していた。


出来る限り、外でデートを重ねた。
仕事帰りに逢える宮田はスーツを着ていて、眩暈がするぐらいドキドキした。
そのくせ、家に帰ればあのダサいパジャマを着るから、その差に余計萌えた。


父さんと母さんは何も言ってこないから、バレてないと思ってたけど、母さんにふと「…宮田くんのが早く死んじゃうけど、いいの？」と聞かれ、心臓が飛び跳ねるほど動揺した。「…別に。オレはひとりでも生きていける力あるし」そう返すと、母さんは何も言わずに、頭をぽんっと撫でた。


母さんは気づいているのだろうか？


「母さん、オレ母さんが一番好きだよ」


何度も伝えてきた言葉を投げると、母さんは涙目になっていた。


「違う、ただの花粉症っ！」


強がる母さんはずっと昔から変わらない。



＊



「ねえー、宮田。来年度から本社に戻ってこれないの？このままさ」
「んー、難しいかな。年度変わるとあっちの支社も忙しいからね」


宮田が何の仕事をしてるかはよく分かんないけど、忙しいらしい。役職もついてるらしい。どうでもいいけど。


「転職してよー」
「能力ないから、無理だよ」
「養ってあげるから」
「…20も下の子に養われたら、自分を嫌いになるわ」


今日はスタジオで、レッスンだったから…
宮田が仕事帰り、迎えにきてくれた。
と言っても、電車で。
夜道を歩きながら帰路についてる途中。
誰もいない道では、手を繋いでくれる。
夜限定だけど。



「裕太くん、もうすぐ誕生日だよね？しかも日曜日」
「…知ってたの？」
「もちろん」
「…空いてんの？」
「もちろん」
「…オレは仕事だ」
「待ってるよ。美味しいものでも食べに行こう」
「いい。美味しいものはいらないから...二人きりでいたい」
「………」
「安いホテルでいいから、さ。二人きりならどこでも」



宮田は戸惑う。
なんなんだろ、この子。
本当に…何でこんなに気持ちを真っ直ぐに伝えてくれんの？
みつちゃんの子だから？




「…連れていきたいかも。地方に」



宮田は思ったことを口に出してしまっていた。
それを逃さず聞いてしまった裕太は耳まで真っ赤にして、俯く。


無言なまま二人並んで歩く夜風は、少し強いけど。
春の訪れを教えてくれるようで心地よいものだった。



離れても、大丈夫だよね。
新幹線でいけば、すぐだ。
飛行機でいけば、一瞬だ。


何度も伝えたい言葉は、言えずに裕太の胸を苦しめていた。

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