恋は何歳まで出来ますか？

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「これで、オレ以外と使ったら分かるから。ひとりの時は証拠を送ってよ」
「裕太くん....」
「もうすぐ遠距離になるの、オレ頑張るからさ。ポイント勝手に増えてたら、オレの好きなとこ100個書き出す刑ね」



裕太くんもきちんと離れることを分かってる。
子どもじゃないんだね。
仕事では、どうしようもないってことが分かってる。
裕太くんはアイドルだから、ここに残らないといけないし、俺は地方へと戻る。


結局、花ちゃんと同じ。繰り返し。
離れれば、気持ちなんてなくなるまではいかなくても、薄くなる。


そして、別々の道を歩くことも互いに平気になる。


悲しいぐらいに未来が見えた。



「何その刑、すぐ書き出せそう」
「…嘘つけ」
「書けるよ、まず身体のパーツ全て書くでしょー？」
「……変態」



その未来がくる日までは、甘えてみようかな。
久しぶりの恋愛ごっこに。



＊


帰宅すると、みつちゃんは寝込んでるらしく…
ガヤさんが食事の支度とかしたらしい。
ソファーで読書していたガヤさんは「おかえり」と出迎えてくれて笑ってそう教えてくれた。



みつちゃんの体調を心配した裕太くんは、急いで寝室へと走っていく。
マザコンな裕太くんも可愛い。



そんな裕太くんの後ろ姿を見届けてると、
俺を呼ぶガヤさんの声が耳に入る。



「宮？ひとつだけ守ってほしい」
「……え？」
「裕太のこと、傷つけてもいいから。子どもだからってその理由で引き離さないでやってほしい」



全てを知ってるのかは分からないけど
ガヤさんの優しい父親の瞳に見つめられる。
ああ、親ってすごいな。適わない、



「うん」
「あいつは、オレと宏光が育てた子だから。ちゃんと向き合った上でなら…傷ついても這い上がれる力は教えてきたつもり」



子どもに、手は出せないよ。
いつの間にか俺にとって裕太くんはもう子どもじゃない。
ガヤさんの言葉でそう確信した。



「ありがとう、いつか正式に挨拶するね」
「……宏光が怖いな。オレよりも」
「ははっ」


乾いた笑い声が二人の口から漏れていた。



＊


「…母さん？大丈夫？」


寝室に入ると母さんは瞼を閉じ眠っていた。
おでこには冷えピタをして。
そんな母さんの頬に手を添える。


「母さん以上の人はいないと思ってた」


でも、今は…


「いや、以上…ではないか、な？同じぐらい？」


この胸の痛みさえ幸福感で愛しくなる。
大人への階段をのぼる。
一歩ずつ、ゆっくりと。
宮田と歩んでいきたい。

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