恋は何歳まで出来ますか？

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「家では出来ないことを沢山出来て満足だわー」
「ははっ、それは良かった」
「…宮田は満足出来てないの....？」
「いや、満足しすぎて…むしろ明日が心配」
「……ばか」



照れて俯くウィッグを被る裕太を横目に、財布から札とスマホに入ってるポイントアプリを無意識に出していた。
偶然に入ったここのホテルは全国的にグループとして展開されている。不意に一人旅とかでも使ったりしているグループのラブ ホテルだったから、日常のように、ポイント加算のため、精算のパネルにバーコードをかざした。



「………オレ、ひとりで帰る」
「はい？」



精算を終えると、急に不機嫌になったようにそう言い残し、先を歩いていく。
…何で？急に？
脅したくせに、一緒に帰ってみつちゃんにバレたくないからかな？



「裕太くん、危ないから！家の前で偶然に会ったことにすればいいから一緒に帰ろう？」
「……ばか。違うわ！自分の胸に聞いてみろ！」



一緒に自宅に入るのをバレたくない訳じゃないってこと？
なら、何で急に…不機嫌に.....？



ネオン街。
沢山の男女が行き交う、夜の街。
スタイルのいいウィッグをしてる裕太くんは、パンツスタイルにも関わらず、声をかけられてる。
ああ、もう。
未成年をこんな所に来させてしまったことを悔いる。いや、裕太くんに連れ込まれたんだけど。



「行こう、」



心配でその手を掴み、お兄さんに呼び止められてる彼を引っ張ると先を急いだ。
彼は俯きながらも、しっかりついてきてくれた。
絡まる指を離さぬように強く握る。



「…ポイント、」
「え？」
「……あそこ他の女と使ったホテルだったのかよ」



その言葉に記憶を辿ると、習慣のように癖づきポイントアプリを機械に翳したことを思い出しハッとする。



「…他のやつと使ったポイントを使うなんて、最低」



………ね、
確かに最低だわ、それ。
そう言うと立ち止まる裕太くんがいとおしくなり、そのまま街中だというのに、抱きしめていた。



「初めてだったよ、あのホテル。あのポイントはひとりで行ったりした時のもの。あそこ普通のビジホも系列にあるからさ」
「………本当に？」
「うん。誤解させてごめん」



困ってしまう。可愛すぎて。
どこまでも、真っ直ぐ気持ちを伝えてくる。
何気ないことを気にして、不機嫌になって。
その不機嫌になる理由が可愛い。
その表情も可愛い。



「…そのポイント数確認させて」



嫉妬されることは嬉しいとこの歳で初めて経験した。

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