恋は何歳まで出来ますか？

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「ねえ、最近の裕太なんか変じゃない？」
「ん？」


裕太が二階堂家で愚痴を零してる頃、
藤ヶ谷と宏光は二人自宅で晩酌をしていた。


宏光が簡単に作った酒のアテと藤ヶ谷がデパ地下で買ってきた惣菜を摘みながら。


冷凍庫で冷やしていたグラスには、少し氷が張っていて冷たい。そこに缶ビールを注ぐ。
これもフルーティな味わいの缶ビールを藤ヶ谷は開けて、宏光は発泡酒を開けていた。
宏光は好んで飲む。経済的だからと。
そんな宏光にバレないように、2杯目からは藤ヶ谷が宏光の目を盗んで宏光のグラスに缶ビールを注いでいた。



そしてそんな時、気になっていたことを藤ヶ谷は宏光に尋ねていた。
裕太は宏光一直線っだったのが最近変わってきてる。気付けば宮田の隣にいた。
宮田の正面か。


宮田が帰宅するまで待ってるようだし、
宮田が起きる前に起きている。
低血圧な裕太が早起きになったことが二週間経った今も信じられない。


それに、裕太は宮田のパンツをせっせと干している。


「何か宮に懐いてる…っていうか、その…」


きっと宏光も気づいてるだろうと思って問いかけた藤ヶ谷だったが、宏光はポカンとしたと思ったら、藤ヶ谷が買ってきたデパ地下の惣菜を頬いっぱいに頬張る。


「いい事じゃない」


その美味しそうに食べる顔と、なんとも適当な返事に藤ヶ谷までどうでもよくなる。


「そうだね」


長男の裕太は兄が出来たみたいで嬉しいのかもしれない。宮は包み込むような包容力があるし、と藤ヶ谷は思った。



「この角煮美味しー！」
「ひろが温めたからじゃない？」
「な訳ないでしょっ」



角煮の柔らかさに宏光が蕩けてると、藤ヶ谷が真剣にそういうから、宏光は吹き出しそうになるのを抑え、掌で口元を覆った。


裕太の初恋を応援したい。
だけど、正直迷っていた。


年の差が20もあり、同性同士。
応援したい、と心から思う…


裕太が私の救世主だから。


でも…


宮田くんは花のこと本当に想ってるし、
親としては…わざわざ辛い思いをするのが分かってて茨の道へ進むのを応援するのも違う気がする。


ただ、見守ることしかできない


裕太は、私を守ってくれたのにね。


藤ヶ谷くんとマイコ先輩のことで辛かった時、裕太は手をとってくれたのにね。


今度は私が手を差し出す番なのに。


わざわざ裕太より先に死んでしまうと分かってる人に、裕太を託すのは少し嫌だった。


私たちは裕太より永くはどうしても生きられないから。

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