◆月が綺麗ですね ページ36
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真夜中の静まり返った街を散歩する魁利とA。
しんとした静寂を壊さぬよう、わずかに声をひそめながら目的地の公園までの時間でさえも楽しむ2人。
「……こっち。階段気をつけて。」
「ありがと。」
少し傾斜のキツい階段の前で、魁利がAに手を差し出す。
高台にある小さな公園は魁利が以前、グッディを追ってきた場所だ。
魁利はお気に入りの炭酸ジュースを、Aは甘いココアを片手に、ブランコへ腰掛けながら街を見下ろす。
心地よい夜風に当たりながら、Aはふと思った。
いまの魁利は、自分に優しく寄り添ってくれる月の光のようだと。
真上から照り付け身を焦がしてくる太陽も好きだけど、ただ闇のなかで静かに輝く月がなんだか魁利のようで。
点々と光が灯る夜景も、夜空に浮かぶ大きな月も美しいが、降り注ぐ月光に照らされ青白い輝きを仄かに跳ね返す魁利も、同じくらいに綺麗でつい見惚れてしまうA。
だから魁利は夜が似合うんだね、とAは一人で納得していた。
「……なに、見すぎなんだけど。」
「えへ、ごめんて。」
「どうせ考え事でしょ？」
「まぁね。でも仕事のことじゃないよ。」
「へぇー。じゃ俺のこと？」
「あ、正解。」
Aの視線に気付いた魁利がニヤリと口角を上げながらいたずらっぽくたずねる。
軽口のつもりで聞いたのに、すんなりと肯定されてしまい面食らう魁利。
慌てて飲み込んだ微炭酸がしゅわしゅわと弾けながら喉を通る。
「え、マジで俺？なんで？」
「魁利って月が似合うな〜って思ってただけだよ。
すごく綺麗だから。」
「なにが？」
「魁利も、月も。」
「……嬉しくねー。俺が綺麗なワケあるかよ……｡」
「あるの。私には、ねっ。」
口を尖らせる魁利の横で、Aはブランコを大きく漕ぎ出す。
彼がそう言うのは不服なように見せて、ただの照れ隠しだと知っているから。
「ははっ、じゃあこんなこと言うの世界でAだけだな。」
「そ〜かもね〜っ。」
「お、い！ココアこぼれるって！」
大胆に立ち漕ぎを始めるAを魁利が窘める。
姉のようになったり妹のようになったり、Aの気まぐれに振り回される魁利は、いつもより柔らかい表情をしていた。
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くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 幽々華さん» お返事が遅くなりまして申し訳ありません！リクエストありがとうございます！第10章にて続編を書きますので、ぜひお待ちいただけたらと思います(^^) (2021年12月17日 0時) (
レス) id: d79e2b38c6 (このIDを非表示/違反報告)
幽々華(プロフ) - 別の機会にでも剣崎君メインの「嘘色の祝福」後日談が見てみたい…… (2021年5月29日 2時) (レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 里香さん» ご感想ありがとうございます！強がる賢人と包み込む夢主ちゃん、という対比を意識したのでそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)オチの芽依ちゃん私も好きです♪笑 またよろしくお願いします！！ (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - あずきさん» お返事遅くなりまして申し訳ありません。明けましておめでとうございます♪不破さんがツン担当してるのも良いですよね！嬉しいコメントありがとうございます。また今年もよろしくお願いします(^^) (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
里香(プロフ) - 賢人くんのお話、ありがとうございました。夢主ちゃんと賢人くんの関係性、最高でした。一番最後の芽依ちゃんも可愛かったです。 (2021年1月10日 21時) (携帯から) (レス) id: a371ba2978 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くっきーー(ﾟﾚ゜) | 作成日時：2020年12月19日 20時
