●《すべて掌の上》バスコ・タ・ジョロキア ページ25
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私掠船フリージョーカーには船長のバスコと相棒のサリー以外に、一人の少女が乗っている。
バスコは船に戻ると、必ずその少女の部屋に顔を出すのが決まりだ。
しかし今日は、操縦室に少女が座ってバスコを出迎えた。
「あ、おかえりバスコ！ちょっと外の空気を吸いたくて……っ！？」
「あれ〜〜Aちゃんここで何してんの？」
船長の帰船を嬉しそうに迎えていたAの顔が、サッと青ざめる。
気付けばバスコの左手が、Aの首を締め付けていた。
「あの部屋から出ていいなんて、一言も言ってないんだけど？」
「ごめ……っなさ……。」
息も絶え絶えに謝るAの声に、バスコは満足そうに笑った。
「も〜〜俺の言うこと聞いてくれなきゃ困るっしょ。」
ｹﾎｹﾎと咳き込む少女を抱き締めながら、甘ったるい声でその背中をさするバスコ。さっきとは別人のように優しい。
「俺は昔から、好きなモノは独り占めしたい性分でね。お宝はもちろん、Aのことも♪」
自身の膝に少女を乗せると、Aの髪を指に絡めながらバスコは愛おしそうに呟いた。
「俺以外の人間がAの瞳に映るのも、肌に触れるのも、声を聞くのも許せない。……し、許さない。
──……だってAは、俺の宝物だから。」
Aは自身の髪で遊ぶバスコの手にすり寄り、掌にキスを落とす。そして、手首にも小鳥が啄むように口づけをした。
バスコはゆるり口角を上げて、そんなAの頭を撫でる。
「ふふっ。だから、この船で、いやこの世界でAを愛していいのも俺だけ。そうだろ？」
「うん。私にはバスコしかいないよ。……ずっと一緒に居てくれる？」
「もちろんさ。……姫のお望みのままに。」
ﾁｭｯ
二人は、契りを交わすように唇を重ね抱き合う。
その腕の中で、妖しく微笑んでいたのは無垢なフリをした少女だった。
──ヒトが愛に溺れる時、愛した方の負けか？
それとも愛された方の勝ちか？
束縛も嫉妬も独占欲も、すべて彼女の掌の上。──
■□
《意味》
掌へのキス→懇願
手首へのキス→欲望
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くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 幽々華さん» お返事が遅くなりまして申し訳ありません！リクエストありがとうございます！第10章にて続編を書きますので、ぜひお待ちいただけたらと思います(^^) (2021年12月17日 0時) (
レス) id: d79e2b38c6 (このIDを非表示/違反報告)
幽々華(プロフ) - 別の機会にでも剣崎君メインの「嘘色の祝福」後日談が見てみたい…… (2021年5月29日 2時) (レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 里香さん» ご感想ありがとうございます！強がる賢人と包み込む夢主ちゃん、という対比を意識したのでそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)オチの芽依ちゃん私も好きです♪笑 またよろしくお願いします！！ (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - あずきさん» お返事遅くなりまして申し訳ありません。明けましておめでとうございます♪不破さんがツン担当してるのも良いですよね！嬉しいコメントありがとうございます。また今年もよろしくお願いします(^^) (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
里香(プロフ) - 賢人くんのお話、ありがとうございました。夢主ちゃんと賢人くんの関係性、最高でした。一番最後の芽依ちゃんも可愛かったです。 (2021年1月10日 21時) (携帯から) (レス) id: a371ba2978 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くっきーー(ﾟﾚ゜) | 作成日時：2020年12月19日 20時
