88.青き星は光り輝く ページ42
泣きじゃくる光を落ち着かせるように撫で続ける充。
しかし、兄弟の再会は長くは続かない。
様子を見ていたエマが明日人達の声を聞き付ける。
おそらく、エマと光を探しているのだろう。
光と充が見つかれば、大騒ぎになるに違いない。
(稲森くん達が来たら全部水の泡になるな。さて、どうしたものか)
どうにかして稲森達を引き離すことができないものかと考えると、以前ホラー映画で見たことのある演出が頭に浮かんだ。
さっそく小さな青い炎を作り、フッと息を吹きかける。炎はたまたま近くにいた岩戸に向かって飛んでいく。
「ゆ、ユーレイゴスぅぅ‼︎」
数秒後、岩戸の絶叫が聞こえてきた。
効果は抜群だったが、岩戸を怖がらせてしまったことに罪悪感を感じる。
もちろん、岩戸の悲鳴は充達にも聞こえた。悲鳴の原因はおおよその見当はつく。
「そろそろ光は帰るべき場所に行くべきじゃないか？」
「…いやだ。せっかくこうしてまた会えたんだ。もう少しだけ…」
なかなか離れようとしない光に、充は困ったように眉を八の字にする。この状況をどうにかするには無理にでも光を引き離すことくらいしなければならないが、そんなことはできそうにない。
充が迷っていたその時、様子を伺っていたエマに変化が起こる。
エマの姿がうっすらと透け始めた。自分の手のひらを透かして見ると、夕日が透けた手越しに目視できる。充は目を見開いてその現象を見ている。
『充さん。申し訳ないけど、早めに切り上げてください。私が保たない』
その言葉に充は黙って頷く。愛おしそうに腕の中の弟を撫で、光を引き離す。
「ごめんな。もう時間みたいだ」
「兄ちゃん…」
光は手を伸ばすが、その手は充をすり抜けてしまう。
「そんな顔するなよ、光。俺はずっと光を見守ってるからな」
最期に微笑みを浮かべると、充の体を青い光りが包み込む。同時にエマは自分の体に引き込まれる。
充の姿が瞬く間にエマの姿へと戻る。時間を巻き戻しているような光景をただ呆然と見つめる光。
エマの姿が完全に元に戻った頃に明日人達がふたりを見つけ、駆け寄ってきた。
仲間に囲まれて最初は戸惑っていた光だが、明日人達の優しい言葉に笑顔になる。
「ありがとう、充さん」
誰にも聞こえないような声で空に向かってエマは呟く。夕暮れ時の空には青く光る星が見えた。
その星はまるで充の心情を表すかのように青く光り輝いていた。
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加奈子(プロフ) - 星野結花さん» ありがとうございます！ (2019年12月1日 21時) (
レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
星野結花 - この小説すご〜く好きです!これからも頑張って下さい!応援しています(*^_^*) (2019年12月1日 10時) (レス) id: 09968e6ae8 (このIDを非表示/違反報告)
加奈子(プロフ) - りんねさん» 楽しんでいただけて幸いです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
りんね - 妖怪ウォッチもイナズマイレブンも大好きだから見てて楽しいです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: e73a160d29 (このIDを非表示/違反報告)
コロニャん - 返信ありがとうございました！ (2019年6月8日 13時) (レス) id: d3d7c71152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：加奈子 | 作成日時：2019年4月4日 19時
