85.もう一度だけ ページ39
少年霊が部屋に入ったことを確認し、部屋の鍵を閉める。
エマがベッドの上に豪快に足を組んで座ると、先ほどから落ち着かない様子の少年に声をかける。
「私は王野恵麻。あなたの名前は？」
「…一星 充」
少年霊の名は一星 充。一星 光の実の兄である。生きていれば円堂達と同じ年だ。
充はなぜここにいるのかについては、大体の見当はつく。弟の光が心配でここにいると考えている。
だがしかし、長い間彼をここにいさせるわけにはいかない。
今まで何人も彼と同じような類いの霊を見てきたが、長い間現世にいると生きている者に対して、恨み、妬み、憎しみを抱いて、人に害を及ぼす霊になってしまうケースもある。
彼も同じようになってしまえば、実の弟を傷つけてしまうかもしれない。そうってしまう前に未練を失くすことが必要となる。
「ねぇ、なにかやりたいことはありませんか？」
しばらくすると充はため息をついてこちらの方を向く。夕日が彼の背中越しに透けて見えた。
「だったら…もう一度だけ光と話がしたい。俺、光に何も言えてないからさ」
照れ臭そうに頬を掻きながら笑う充。
その瞳は優しさで満ち溢れていた。
先ほどまでぶっきらぼうだったのに、弟の話となるところっと態度が変わった。
「…任せてください」
若干、充の変わりように戸惑っていたため、そっけない言い方になってしまったが、本人は気にしていないようなのでよしとしよう。
その後、ふたりで計画を立てた。
計画の詳しい内容としては、充がエマの身体を借りるという物だった。
最後まで自分の身体を貸すことを渋っていたが、それ以外に方法がないため、しぶしぶ承諾した。
ふたりで光の部屋に向かっている途中に
「…胸でも触ったりしたらあなたをこの世から消しますから」
「さ、触るわけねぇだろ⁉︎」
と脅しまがいの事を告げると、充は顔を真っ赤にさせ全力で首を横に振った。
「冗談ですよ」
この一言で充は胸を撫で下ろした。
彼女なら本当に自分を消しそうである。
命の危機を感じていた充の反応を見て、フッと鼻で笑っていたことに、充は気づくことがなかったのである。
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加奈子(プロフ) - 星野結花さん» ありがとうございます！ (2019年12月1日 21時) (
レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
星野結花 - この小説すご〜く好きです!これからも頑張って下さい!応援しています(*^_^*) (2019年12月1日 10時) (レス) id: 09968e6ae8 (このIDを非表示/違反報告)
加奈子(プロフ) - りんねさん» 楽しんでいただけて幸いです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
りんね - 妖怪ウォッチもイナズマイレブンも大好きだから見てて楽しいです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: e73a160d29 (このIDを非表示/違反報告)
コロニャん - 返信ありがとうございました！ (2019年6月8日 13時) (レス) id: d3d7c71152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：加奈子 | 作成日時：2019年4月4日 19時
