84.少年霊、再び ページ38
選手寮に帰ってから、すぐ食堂に向かい夕食の支度をするマネージャー達。
今夜はカレーを作るらしく、杏奈・エマ・秋は野菜を切り、A・つくし・ヨネは器を用意しているところであった。
『おい…』
エマの耳に聞き覚えのある少年の声が聞こえた。エマは一瞬、野菜を切る手を止めたが、すぐに野菜を切り始めた。
その声の主はふわふわと台所に浮いていたが、自分の声が聞こえるエマに気づき、何度か声をかけてみるも、自分の存在に気づいてくれなかった。
何度か迷うような素振りをしたのち、意を決して上からエマの顔を覗き込んだ。
ざくっ。
突然、自分の目の前に顔が出てきたのだ。声を上げなかっただけでも奇跡と言える。普通の人なら卒倒ものだ。
不幸にも手元が狂って指を切ってしまった。が、本人はぼーっとしていたため気づかない。
隣で野菜を切っていた杏奈が固まったまま動かないエマに気づき、視線だけエマの方に動かすと、ぎょっとしたように目を見開いて慌て始めた。
「どうしたの？」
慌て始めた杏奈を見て、Aが様子を見に来た。杏奈が震える指でエマを指差す。
指差した方向を見た瞬間、Aは血の気が引いた。
「え、恵麻ちゃん…その手は…」
「え？」
ようやく我に返って異変に気付くエマ。
手元を見ると指がざっくりと切れていた。
結構な量の血が出ている。
「…」
一切表情を崩さずに調理を再開しようとするとA達に止められたため、傷口を軽く消毒して絆創膏を貼ってから作業を始めた。
途中からエマは、包丁をまな板に叩きつけるようにして野菜を切っていた。まな板ごと一刀両断しかなねない勢いでやっていたため、野菜を切り終わる頃には、まな板はキズだらけになっていた。
夕食の準備が終わった頃、少年霊と話をするために許可をもらい、食堂から出て行った。
少年霊はエマの後ろを黙って付いていく。自室に入るまでお互い一言も喋ることはなかった。
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加奈子(プロフ) - 星野結花さん» ありがとうございます！ (2019年12月1日 21時) (
レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
星野結花 - この小説すご〜く好きです!これからも頑張って下さい!応援しています(*^_^*) (2019年12月1日 10時) (レス) id: 09968e6ae8 (このIDを非表示/違反報告)
加奈子(プロフ) - りんねさん» 楽しんでいただけて幸いです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: a62379125a (このIDを非表示/違反報告)
りんね - 妖怪ウォッチもイナズマイレブンも大好きだから見てて楽しいです！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: e73a160d29 (このIDを非表示/違反報告)
コロニャん - 返信ありがとうございました！ (2019年6月8日 13時) (レス) id: d3d7c71152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：加奈子 | 作成日時：2019年4月4日 19時
