26、無敵ヶ原富士丸(回想) ページ27
数日前の夜のこと。明日人、灰崎、氷浦、不動、タツヤに加え何故かAまでもが外を歩いていた。
不動「何で俺たちが使いっぱしりなんだよ」
明日人「監督のことだから、これにもきっと訳が…」
灰崎「監督が夜食べるアイスを買いに行くことに意味があるとは思えんがな」
基山「たしかに」
氷浦「まあ、例によって監督の命令は絶対だ」
灰崎たちが愚痴をこぼす中、おずおずと口を開いた者がいた。
貴女「あの〜…本当に私も来て良かったの？」
Aである。
監督に頼まれたアイスを買いに行くだけなのに明日人が「Aも来なよ」と誘って来たのだ。
明日人「A今日色々大変だっただろ？だから好きなアイスおごってあげようと思って」
貴女「…それは嬉しいんだけど明日人今日はやけに優しくない？」
明日人「え〜俺はいつもこうだよ！」
貴女「え〜？何か怖いんだけど」
Aが訝しげに明日人を見る。明日人は「心外だなー」と笑う。
灰崎「カッコつけんな。金は監督負担だろうが」
貴女「なぁんだ。おかしいと思った」
明日人「バレたか」
不動「…仲良いなお前ら…」
基山「本当に」
日常茶飯事とも言えるAたちのやりとりを見て呆れている不動と微笑ましそうな目をしたタツヤ。
その時、どこかからボールが飛んできた。氷浦がそれに気づき蹴り返す。
氷浦「誰だ！」
居たのは帽子をかぶった小柄な少年だった。
？「ああ。そこにいるのはテレビで見た、サッカー日本代表の皆さんじゃないですか」
わざとらしくそう言うと、少年は強烈なシュートを撃ってきた。
不動「ぐあっ！」
貴女「不動さん⁉」
ボールは不動の腹にめり込み、不動はその場に倒れてしまった。
Aが慌てて駆け寄ろうとするも、少年は跳ね返ったボールをすぐさまトラップし、Aや灰崎の横をドリブルですり抜けた。
貴女「わ…⁉」
あまりの速さにAはすとんとその場に座り込んでしまった。
基山「サッカーで勝負ってことかい⁉」
タツヤと氷浦がスライディングで襲いかかるも、軽くかわされてしまう。
？「その程度で日本代表とは笑えますねぇ」
不動「お前は何者だ！」
不動が少年を睨み上げる。
無敵ヶ原「僕の名前が知りたいのか。僕は無敵ヶ原富士丸。君たちのようなダメ選手がFFIに出て日本が恥をかかないように、ここで全員再起不能にしてやるよ」
無敵ヶ原と名乗るその少年は不気味に笑った。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年5月27日 23時
