未来は枝分かれののち収束する ページ21
「はいっこんなものでどう？痛いところはない？」
「ああ、傷は塞がった。ありがとう」
「いいえ。それに魂のほうはそう簡単に回復しないわ。長義くんが名乗ればその限りではないけれど」
山姥切は名乗れなかった。彼女には長義の名だけ告げたが、山姥切と名乗ろうとすると喉がつっかえるのだ。
「俺の名前は_____ッくそ！」
傷は癒えたのに名乗れない。俺は山姥切だ。
俺こそが、本歌 山姥切。その、はず。なのに名乗れない。
なまじ痛みが無くなって思考がはっきりしてきた分苛立ちがつのった。
「……まぁそう急かずに。今の貴方では出て行ったところであの鬼もどきには勝てないわ。もう少し私の話し相手になって下さいな。ふふふっここ数年はずっと山に引きこもっていたから、誰かとまともに話すのは久しぶり」
まるで犬がご機嫌に尻尾を振るように、羽がパタパタと小さく羽ばたいた。
鬼もどき……と彼女が呼んでいるのは遡行軍のことだ。
遡行軍の存在を、この時代に生きる妖怪が認識している。
それが未来にどのような影響を及ぼすのか分からない。これも歴史修正になってしまうのだろうか？
増えた懸念事項を頭にメモしつつ、山姥切は無事に帰れるのかと思案した。
言われた通り、どこかの本丸の部隊を見つけて保護してもらうにしてもここには遡行軍は来ないけど、同じく刀剣男士も来ないから、まず戦場に出て、刀剣男士を見つけるまで遡行軍を躱すなり戦うなりして徘徊し生き延びなければならない。
ただでさえ名前の紛失で存在が弱ってるのに、それができるだけの練度が山姥切には無い。
自主鍛錬でどれだけ強くなれるか……。
阿津賀志山攻略に必要なおおよその練度を考えて頭が痛い。
とにかく、これ以上休んでる暇はないだろう。
阿津賀志山の戦いで奥州征伐が終わり、鎌倉幕府が始まる。遡行軍の動きは滅ぼされるはずの奥州軍の防衛。
阿津賀志山の戦いは三日間行われる。
当然遡行軍の出現と刀剣男士の出陣はこの期間だ。
つまり、山姥切がチャンスを逃せば……この時代で生きることになる。戦は終わり、時代は流れて承久の乱へ。
承久の乱へ出陣する刀剣男士とかち合う可能性にかけるには、平行世界、時間軸といった不確定要素が多すぎる。
今いるこの世界の未来に、刀剣男士が出陣している過去があるとは限らないのだ。
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翡翠琥珀@カリナと咲(プロフ) - ァ"ァ"ァ"好きぃ... (2022年3月31日 15時) (
レス) @page42 id: cceed3ce75 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - 返事がない只の屍のようだ。さん» ちょぎくんの布教が出来て嬉しいです！沼へようこそ。 (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - sesiroさん» ありがとうございます。成り鶴もよろしくお願いします (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - まるさん» ありがとうございます (2021年3月5日 16時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
返事がない只の屍のようだ。 - はじめまして！そして完結おめでとうございます！！大好きです！！！終わってしまい寂しいですがちょぎ君、思い出して貰えて良かったねﾞぇ〜！(T△T)ｽﾞﾋﾞｨ この小説を切っ掛けでちょぎ君にハマりました！ありがとうございます！！(謎)これからも頑張って下さい！ (2021年3月5日 12時) (レス) id: 2157a47614 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年12月5日 14時
