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店内に響き渡った平手打ちの音は、
見た目だけなら美しい少女が出して良い音では無かった。
音だけ聞けば、大男のビンタにすら聞こえた。
「誠に申し訳ありませんつい反射的に殴ってしまいました」
数分後、店内で頭を下げるAが目撃された。
それはまるで、芸能人や政治家の謝罪会見のようだった。
ぶん殴られた条野は珈琲を飲み、鐵腸はアイスクリームに豆腐をかけて食べている。
ちなみにこれはぶん殴った本人の奢りだ。
「別に、背後から声をかけた私にも非はあります」
「いえ、八割私の責任です」
「あ、私にも二割あるんですね」
「背後から声をかけられると敵だと思ってしまいます」
「武士ですか?」
今時いるだろうか、背後から声をかけられた瞬間に敵だと認識する女が。
いや、いる、今条野の目の前に。
まるで筋骨隆々の男のような威力を持つ平手打ち女子が。
身体強化のお陰で大して痛くは無いが、威力だけならここ数ヶ月の任務の敵より強い。
「と云うか貴女の方が大丈夫なのですか?
むしろ其方の方が怪我をなさっている可能性が」
「Aさんお怪我してますの?与謝野さんに」
「ナオミ、パフェ奢るから見逃して」
「はーい」
Aはナオミを口止めした。
バレたら与謝野の手術室行き、ならば千円ぐらいのパフェ安いものだ。
「…それで、女性の唇を奪った件についてはどうします?」
「ゴホッ」
キスを忘れたいのか、話題をさけていたA。
まさかのナオミが仕掛けてきたことに珈琲を吹き出しかけた。
「白黒はっきりつけましょうよ。
思い出してください、人前でファーストキスを奪われた瞬間を」
「あああああ!!」
Aが絶叫した。
顔を真っ赤にして頬を押さえる。
消えてしまいたいくらい恥ずかしかった。
「うるさっ」
「さぁ、ご感想を」
ナオミは嬉々としてAに迫った。
Aが逃げないように腕を掴みながら。
「いや、もういい…忘れる…忘れるから…」
条野は、何故か手元の珈琲がガタガタ揺れているのに気づいた。
相手がキス程度何にも考えてない乙女なら違った。
だが今目の前にいるのはファーストキスを奪われて泣きそうになっている未成年の乙女。
「せきに…」
「責任とれ条野」
机の下で鐵腸の足が踏み抜かれた。
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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時