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「ぅおっ…!」



「ひっ…」



やはりこの監督の映画は素晴らしい。
演出も、登場する俳優もとても上手い。



『ぎゃぁぁぁぁぁ!!』



「「うわぁぁぁ!」」



画面から飛び出る悲鳴と共に、映画館内に少年二人の悲鳴が響く。
公開期間ギリギリのせいか、客は自分たちしか居ない。
ちなみにだが、映画のチョイスは『多分ヤンチャでませた餓鬼でも大人しくなるでろう』モノ。
云うまでも無い、ごっりごりの日本ホラーモノである。



「うん、面白かった」



「…」



「…」



見る前はあれほど騒いでいた少年二人がえらく静かだった。
面白かったのだろうか?
どちらにせよモンスター二匹が静まったのは良かった。



『まあ、静まらせる為に連れてきたんだけど』



異能でねじ伏せる事は容易いが、それよりも力関係を力を使わずに理解させる方がずっと良い。
その手段がホラー映画なのは如何なものかと思うが、
それでも少年二人には良い劇薬になったようだ。



「一応忠告しておく」



Aは残り少ないコーヒーを飲み干し、二人を見下ろした。



「今度暴れたらあの映画みたく絶叫あげてもらう事になるし、
場合によっては『出る』って噂の心霊スポットに置き去りにするから」



かなり恐ろしい脅しだが、あの双つの黒に容赦は要らない。
油断すればやられるのはこっちなのだ。
初速が大事、コーナーで差をつける前にケリをつけるのが大切なのだ。



「判ったら、返事」



「「はい…」」



「よし、いい子」



素直になった少年の頭をそれぞれ撫でる。
すると太宰はキョトンとし、中也は顔を赤く染めて手を払いのけた。
飴と鞭、優しさは必要だ。



「…Aは調教師に向いてるかもねぇ…」



「ナチュラルにアレをやれるところがまた凄いですわ…」



物陰から、双眼鏡片手に見ていた与謝野とナオミが呟く。
あの暴君二人を一瞬で大人しくさせた手腕もさることながら、
あれを当然のようにやれる精神は生まれつきなのだろう。



「…社長がねぇ…昔、ある友人がハイヒール履きながら笑顔で相手を踏みつけて云う事聞かせてたって云っててねぇ…」



「…それって」



「…多分ね、Aの母親なんだよ…」



「…遺伝、ですね」



「…遺伝だねぇ」

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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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