【文スト】この世界と番外編 その十五

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凡ての始まりは、探偵社とマフィアが偶然、本当に偶然街中で出会ってしまったことからだった。



『止めに行ったら危ないな、うん』



鎮火を待つ間、ふと空を見上げていた。
その時、そう高くないビルの屋上になにやらこちらを見つめる人影を見つけた。
その人物は太宰と中也の方に手をかざすと、居なくなってしまった。



「…？」



首を傾げながらも、その光景をスルーした。
その結果、大惨事が起こったのは数時間後。
探偵社で突然太宰が倒れたのだ。
当然Aは焦り、医務室に運んだ。
その瞬間、彼は体が縮み、少年になった。
もう一度云おう、少年になったのだ。



「誰？君」



子供と呼ぶには冷たすぎる声に、Aは瞬時に事態を理解した。
それと同時に、電話が鳴り響いた。
もはや相手は想像がいく。
少年となった中也を持て余したマフィアが連絡を入れてくるのを見越して立て篭もったのだ。
世話を押し付けられる予感があったから。



「…結局こうなるか…」



籠城が失敗したAは、
探偵社で散々悪戯をした太宰とマフィア本部で暴れに暴れた中也を前に深い息を吐いた。



『子供は好きだけど…ここまできたら少年って扱いだし…』



Aが視線を向けても、太宰はつまらなさそうに指をいじっているし、中也は睨みつけてくる。
この年頃は難しいのだ、いや、簡単な時期など無い。



「おい、アンタ」



「なに」



「なんだよさっきからジロジロ見やがって」



ギロリと睨みつける目の強いこと。
物陰から見ていた立原がAに同情した。



「…よし、出かけようか」



「「は？」」



「いいからついてくる」



「嫌だよ、なんでそんなことしなきゃいけないの」



「絶対ぇ嫌だ、誰がんなこと」



各々勝手に立ち上がろうとする。
Aは、その瞬間少年二人の手をつかみ、座っていたソファーに押し倒した。
物陰で見ていた者達がざわつく。
あの二人相手にやりおった、と。



「んぐ！？」



「ぅん！？」



Aは少年二人の口に、それぞれ星のようなものを放り込んだ。
そして、二人の唇に指を当てる。



「しーっ」



二人の口の中で、甘いもの、金平糖が溶けた。
驚きのせいか大人しくなった二人に、誰もが思った。



「小泉A、やはり凄い」



こうして、また厄介ごとの解決を手伝わされることになるのだった。

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