21話 ページ22
それから暫くして、玄弥くんはまだ稽古が残っているから、
と言って屋敷を去っていった。
当たり前な事だけど、
玄弥くんは鬼を食べてその鬼の血気術を使っているということは、私には話さなかった。
彼がそのつもりなら、無理に私が聞くことは必要ないだろう。
午後の稽古も終わって、夕餉の支度をしていたが、
師範がなかなか帰ってこない。
・
あまりにも帰ってこないので、
稽古相手の水柱様の屋敷近くまで行こうとしたが、
案外近くに師範がいた。
『師範』
「あ゙?なんでここにいんだ、夕餉は」
『済んでます。…それは何です?
飼うにしてももっと可愛いものを拾ってください』
何やら目玉のようなものを手に持っているが。
せめて犬とか猫にして欲しい。
「何言ってんだおめぇ」
そんな目で見ないでくれ。
『今日屋敷に……』
「?」
『野良猫が迷い込んだので、魚をあげました』
「なにしてんだァ」
いわないでおこう。
いつかきっと、分かり合える日が来る。
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作者名:まゆ | 作成日時:2023年5月8日 1時